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2022/09/06

森泉宏一

『森泉宏一の実況天国』Vol.82

『森泉宏一の実況天国』Vol.82

数カ月前になりますが、数人で食事に行った際のこと。
その中の1人、江戸川ボートレース場でリポーターを担当している瀬戸沙織さんと数年ぶりに再会しました。
瀬戸さんは私が江戸川で実況を担当していた頃にリポーターを始めたと記憶しているので、10年近くは経過しているはず。
元気そうで、立派にキャリアを積んでいるようで、ひと安心。

昔話に花を咲かせていると、瀬戸さんが突然、
「そういえば森泉さんって、選手の登録番号を覚えるの、得意でしたよね!」
と話を振ってきました。

そうなのです。20代の頃の森泉青年は、得意技の域に達するほどボートレース選手の登録番号を覚えることに長けていました。実況を始めてからというもの、なぜだか分からないのですが、登録番号と選手名をリンクさせて覚えていきました。
登録番号を特に覚えようという意識ではなく、自然と覚えていったのです。
4桁の番号を言われれば、その瞬間に、「◯◯!」と反射的に選手名を答えられたものです。
とはいえ、この能力が実況に役立っていたかといえば………何もない(笑)。
強いていえば、選手情報をイントラネットで調べる際に、登録番号を入力するのですが、その際にいちいち選手名鑑を開かずに済むくらいでしょうか。

オートレースにも登録番号は存在しているものの、ボートレースほど定着していません。
サインを書く際も、ボートレーサーは番号を一緒に添えている場合がほとんどですが、オートレーサーで番号を添えている選手はいるのでしょうか。そんなこともあり、オートレース選手の数は、ボートレースの約4分の1であるにも関わらず、ひとつも覚えていないのです。オートレースの場合は、登録番号よりも競走車名ですからね。

今でも番号に反応するクセは残っており、テレビで陸上競技を観戦していた時、桐生祥秀選手を見て、
「ゼッケンが4444ではない!」(ボートレースの桐生順平選手の登録番号)
と、どうでもいい反応をしてしまうことも(苦笑)。

そして、陸上競技といえば、私の知人が公営競技に関わる職場に属していた頃。職場のテレビで世界陸上が放映されていた時の話をしてくれました。当時の知人は、その職場の皆さんと陸上男子100メートルを観戦。
ケンブリッジ飛鳥選手に対して、
「差せ! 差せ! 差せ!」
「差した?」
「外枠の不利を克服!」
「ウサイン・ボルトと同組ならドリーム戦やろ? それなら点増しで予選突破できんのか?」

……表現が独特すぎます。

知人はその話をしながら、「うちにはどうしようもない奴らしかいない」と嘆いていましたが(笑)。
以前もこのような表現の話を当コラムで記しましたが、毎日関わるような場所にいると、身に付いてしまうものなのでしょうか。

登録番号の話から始まった、今回のコラム。一体、何の話をしたいコラムなのだろうか(笑)。
真面目な話をすると、前述の番号を振られて反応するという話。
番号ではありませんが、レース実況の練習方法として、
「目で見た物の色を瞬時に枠番で答える」
というものがあります。
例えば、家屋の屋根が青色なら、その屋根を見た瞬間に「4番!」
緑色のタクシーを見た瞬間に「6番!」
という具合に、見たものに即時反応するというもの。
瞬間、瞬間に言葉が出るようにするためのトレーニングのひとつです。
これはレース実況の研修時代に先輩から教わった方法でして、その先輩は電車に乗る際、車窓の風景を堪能しつつ、そこから見えるもので練習もされていたそうです。
その話を聞いてから、私もその練習方法を取り入れ、今でも物の色を見て反応するクセは残っています。

前半は数字に反応。後半は色に反応という話。
伏線回収的な書き方ができたでしょうか(笑)。

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