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2022/09/23

木三原さくら

恋して競輪ハンター

恋して競輪ハンター

木三原さくら「恋して競輪ハンター」117 Hunting

私事ではありますが、8月末で競輪界に入って10年目に突入しました。2013年、松戸競輪で競輪を始めたあの日から、あっという間に過ぎた月日。初めて降りたった北松戸駅。競輪場まで歩いた時の緊張を、今でも覚えています。当時、北松戸駅の降りたところのコンビニは確か1軒で、ファミリーマートではなく、サンクスでした。繰り返し出演させてもらうようになってから、よく先輩MCとそこで焼き鳥やらフランクフルトを買い、チャージをして競輪場に向かったものです。

現場ではたくさん失言や失態をして、今、思い返すと顔から火が出るほど恥ずかしいことや情けないことがたくさんあります。こんな中途半端で危うい人間だった私ですが、育て見守ってくださった方々がいたから、この世界で生きてこられました。それはまるで、経験もなく走り方も分からない新人選手を、番手で育ててくれる先輩のように。懲りずにラインを組んでくれた人たちのおかげです。時には「そんな競走してると大けがするぞ」と叱られたり、時には「後ろで援護するから頑張ってごらん」と信頼して任せてもらえたり、たくさんの経験とチャンスをもらいましたた。チャリチャンというライン、チャリロトというライン、e-SHINBUN、松戸競輪、平塚競輪、奈良競輪__。この先も、根底にこの経験を持って、また10年目も頑張っていきたいと思います。

さて、そんな私もたくさん競輪を見てきて、だいぶ図太くなりました。初心者の頃は、レースのスタートからゴールまで一喜一憂して忙しかったですが、今では初手を見て、ある程度のレース展開を想定して、毎回、ギャースカと騒ぐことも減りました。車券を買う時点で、展開予想をするわけですし、特に私は初手から考えることは好きなので、ある程度の流れはレース前から想像しています。それでも、やっぱり今でもゴール前はグッと力が入ります。そして、やっぱり思うのです。

「競輪はゴールするまで分からない」

先日、久しぶりに奈良競輪に行ってきました。奈良と言えば333mバンクで、特徴はその直線の短さ。「何センチだっけ?」と冗談をいうくらい4コーナーを回ってすぐにゴールがくる印象です。33バンクで感覚的に短い直線となると、展開でゴール前に変わってもここまでかな~と思うものですが、そんな奈良でもやっぱりゴールするまで何が起きるか分からない。
2日目の9レースA級特一般戦。1着になったのは三重の岩見潤選手。このレースは人気を集めていた自力選手が包まれてしまう展開に。本命サイドから狙った人間からすると期待した走りも見れず、車券も外れるという、いいことなしのレースになるところでした。しかし、最後の3コーナーから岩見選手が前の3車並走の隙間をこじ開け、さらに先行の番手を捌いて1着まで追い込んだのを見たとき、だらしなく座っていた姿勢が一気に前のめりに! 買わなきゃよかった、見なきゃよかったと思っていたレースを、一瞬にして面白いレースに変えてくれました。私のような競輪バカは勝手で気楽なもので、車券は外れたけど、このレースが見れたなら、まあよしとしよう!と思い、また次のレースを買い始めるのです。何年も競輪を見て、どんなに見慣れても、その瞬間だけの感動や興奮がそこにはあると実感したレースでした。

これからも、そのような唯一無二のキラメキを探していきたいと思います!

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【恋して競輪ハンター・過去コラム】
116Hunting「ベテラン郡英治選手の走り」
115Hunting「2時間悩んだオールスター決勝」
114Hunting「あとの祭~サマナイを振り返って」
113Hunting「吉田輪太郎のラストラン」
112Hunting「競輪イチ諦めの悪い車券」
111Hunting「日野未来の松戸優勝」
110Hunting「後悔のない車券購入を」
109Hunting「広島でコイコイマスター」
108Hunting「策士・小川真太郎」
107Hunting「競輪に恋して」

【略歴】

木三原さくら(きみはら・さくら)

1989年3月28日生 岐阜県出身

2013年夏に松戸競輪場で
ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー。
以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に競輪を自腹購入しながら学んでいく。
番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり。
好きな選手のタイプは徹底先行!
好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション。
“おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている。

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