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2023/03/10

森泉宏一

『森泉宏一の実況天国』Vol.90

『森泉宏一の実況天国』Vol.90

先月の17日、金曜日。オートレースを題材にした漫画「ビリオンレーサー」の単行本第1巻が発売されました。
週刊ヤングジャンプで現在連載中で、待望の単行本化は、オートレース界隈でも大きな話題となっています!

一夜にして全財産を失った青年「銭屋一生(ぜにや いっせい)」が、一攫千金を夢見て、オートレース選手を目指し、養成所に入所するところから始まるストーリー。
第1巻は、どのような展開からオートレーサーを志すのかが大部分を占めており、すでにストーリーに惹き込まれそうな感じがあります。

まだ序盤ではあるものの、
「あれ? この登場人物は、もしかしたら、あの選手がモデルか?」
という楽しみ方もあり、早くも第2巻の発売が待ち遠しいところであります。

オートレースを題材にした漫画は、過去にもあったそうですが、
ある人曰く、
「たしか、4巻くらいで終わっちゃったんですよね」
とのこと。

公営競技を題材にした漫画は多数ありますが、筆者が世代的に最も影響を受けたのが、ボートレースを題材にした「モンキーターン」。
高校生・波多野憲二がボートレーサーをめざす物語(波多野憲二のモデルは東京支部「東都のエース」濱野谷憲吾選手)。アニメも放送され、当時、大学生だった筆者は、毎週欠かさず観ていたものです。その後、筆者がボートレースの実況をするとは夢にも思いませんでしたが(たしか当時は、まだ「喋る仕事」自体を目指していなかったはず)。

実際に、ボートレースの実況を始めた頃は、友人や知人に競技を説明するために、「モンキーターン」が、どれだけ重宝したことか。個人的にも実況研修前に、何度も、何度も読み返し、競技に対する知識の面でも大いに役立ちました。
そして、ボートレース実況をしていた頃、若手選手に、ボートレース選手を志したキッカケを伺うと、
「モンキーターンを読んで、選手になりたいと思いました」
という選手が少なくありませんでした。

それほど、多大な影響力があった漫画「モンキーターン」。
「ビリオンレーサー」にはストーリーの面白さはもちろんのこと、「モンキーターン」のような影響力、そして競技普及への期待も高まっております。

みなさんもぜひ、お手にとってご覧いただきたい所存であります。

ビリオンレーサー

【コミックス第1巻の詳細】
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さて、話題は変わり、先日オートレース界では、2023年度前期適用ランクが発表されました。
昨年7月1日から12月31日までのレースを対象とし、着順位やタイム順位を得点化し、その得点でランク付けされ選手のランクが決定していきます。上からS級、A級、B級。S級の称号は、約400名の選手の中で48人しか得られないもの。

そして、ランク1位、すなわち「ナンバーワン」には青山周平選手が2シーズンぶりに返り咲きました。
S級勢では、昨年9月に約8年ぶりの優勝を飾った「湾岸の妖精」佐久間健光(伊勢崎26期)選手が、選手生活初となるS級昇格。
逆に、S級からA級に降格した選手を見てみると、前田淳(山陽27期)選手や丸山智史(山陽31期)選手などといった、意外なメンバーが名を連ねる結果に。

そして、ファンの中でも話題になったのが、加賀谷建明(川口27期)選手が、全選手の中で3番目のランク「S3」を獲得したこと。しかも、加賀谷選手は自身初の川口場1位の座にも輝きました。

また、ランキングを眺めていて、筆者が個人的に気になったのは、「絶対王者」高橋貢(伊勢崎22期)選手の安定感です。常に、S級一桁を維持している高橋選手は、今回のランクでもS級4位。昨年あたりでしたか、一時期、優勝から遠ざかっていた時期もありましたが、それでも常にS級上位、しかもベストテン以内にランクインしている印象があります。
調べてみると、2022年前期に一度、S11まで下がりましたが、2021年後期以前は、10年以上に渡ってS級ベストテンを外していないことが判明! 捌きやスタート、スピードなどバランス良く兼ね備え、それでいて、いずれもトップクラスを維持しなければ、この安定感は生み出せません。
それを成し遂げられるのも、「王者」と呼ばれるゆえんであると考えます。

選手が背負う新たなランクも発表され、それぞれの選手の動向にも注目です。

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