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2021/10/31

P-Navi編集部

全日本選手権ロードレース2021(女子)

全日本選手権ロードレース2021(女子)

10月22日から24日にかけて、広島森林公園の特設コースでロード競技、パラサイクリングの全日本選手権が開催された。初日の22日にはロード・パラの個人タイムトライアルが開かれ、23から24日に、ジュニア、U23、男子エリート、女子エリート、年代別のマスターズ選手権にカテゴリー分けされた形で、個人ロードレースが開催された。
通常、ナショナル選手権はUCI(世界自転車競技連合)に6月下旬に開催するよう規定されているが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、6月の開催を見送り、異例の10月開催という形になった。また、ロード競技において、従来なら10月はシーズンの最終盤であり、欧州では多くの選手がシーズンオフを迎えている。ここまでにすでにコンディションを落としている選手も多い。このようなタイミングで、どんなレースが展開されるのかとファンの間では多くの予想が飛び交った。国内の感染状況から、今回は無観客での開催も決定し、まさに異例づくしの全日本選手権となった。

22日のロード、パラの個人タイムトライアルを終え、大会2日日には女子ロードレースが開催された。女子はU23のカテゴリーと混走(同時開催)という形になる。
これまで5回にわたり全日本選手権を制し、今年の東京五輪も日本代表として出場した與那嶺恵理(チームティブコSVB)は、すでにシーズンを終えており、このレースには出場しない。「絶対女王」の不在レースとなり、誰が新しい女王になるのか、大きな注目が集まった。

緊張感に包まれた25名が、無観客の中、静かな闘志をみなぎらせながらスタートしていく。女子はコースを8周する98.4kmで競われる。


スタートしていく女子25名。U23の選手もともに走る

早々にアタックがかけられ、米田和美(MOPS)と西加南子(LUMINARIA)が抜け出す。大ベテラン西にとっては25回目の全日本選手権だ。2人はしばらく先頭を走ったが、西がここから脱落し、米田が独走。しかし、2周目後半になると米田も集団に吸収され、レースは振り出しに戻っていった。

前日のタイムトライアルを制した樫木祥子(Team illuminate)が集団前方に出てペースアップ。アメリカのUCIチームに所属し、今年秋にコロンビアで開催されたステージレースでステージ3位に入るなど、海外レースでも強さを見せている注目の選手だ。樫木が先頭でペースが上がり、数名の選手がこぼれ落ちて行った。


力のある選手が交互に先頭に立ち、揺さぶりをかける。次第に先頭集団は絞り込まれていった

東京五輪を日本代表として走った金子広美(イナーメ信濃山形)が、上り区間で先頭に立ち、ペースアップを図る。集団のメンバーは次第にふるい落とされていき、残り5周で集団のメンバーは8名に。同じく上りでハイペースを刻んでみせる川口うらら(日本体育大学)やタイムトライアルでU23のトップに立った石上夢乃(鹿屋体育大学)、JBCFロードシリーズで完封に近い11連勝を挙げ首位を守った今季の新星、植竹海貴(Y’s Road)らの好調ぶりが光る。


先頭は金子広美、川口うらら、そして今季絶好調の植竹海貴の3名に

この中から残り4周の終わりに、金子、川口、植竹が抜け出していく。樫木らが後続集団を懸命に引くが、金子と川口が上り区間でハイペースを刻み、協調しながら順調なペースで先頭を行く3名との差は開いていった。樫木と石上は2名でペースを上げ、そのまま2名の追走集団となって先頭を追う。好ペースで前方3名との差を縮めていったが、同じくペースを落とすことなく先頭3名に迫ることまではできなかった。

最終周回が見えてきた最後の上りで金子がペースアップ。植竹はこの動きにも応じたが、川口は付いていくことができず、脱落してしまう。最終周回に先頭で入ったのは植竹と金子の二人となった。


先頭は植竹と金子の一騎討ちに

金子と植竹の一対一の戦いとなったが、二人のペースは落ちない。金子はもともとホビーレースでのヒルクライムの強さから、プロ選手に転身した選手であり、上りには強いが、ゴールがこの二人のスプリント勝負となった場合、分があるのは植竹だろう。金子はフィニッシュを迎える前に植竹を振り切ろうと何度も仕掛けるが、植竹も全力で食らいつき、まったく離れることはない。
二人の戦いは、このままホームストレートに差し掛かった。金子が最後の賭けに出て、ゆるい上りで先に仕掛けていく。ここまで、金子の渾身の攻撃に耐えて続けてきた植竹は、残された力をふり絞る渾身のスプリント。植竹が最後に伸び、金子をかわして、先頭でフィニッシュラインを越えた。


先に仕掛けた金子を交わし、ガッツポーズでフィニッシュした植竹。新女王の誕生だ

前回の大会では、スタートリストにすら載っていなかった新星の植竹は、ロードバイクに乗り始めて、まだ6年目だという。今季はリーグ戦で11勝もの勝利を挙げ首位を守り抜き、そして全日本選手権を初制覇。自転車販売店のフルタイムワーカーである植竹が最高の形でシーズンを締めくくった。


笑顔の表彰台。3位と大健闘した川口がU23のチャンピオンとなった

U23としては、3位の川口うららがチャンピオンとなった。積極的な走りを見せ、すばらしい健闘だった。
海外でも注目を集めているという樫木は5位でフィニッシュ。2週間前の海外レースから帰国後、自主隔離期間に乗り込めず、マイナスに響いてしまったようだ。また新しいシーズンでの健闘を期待したい。

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【結果】全日本自転車競技選手権ロードレース
女子エリート(U23混走)98.4km
1位/植竹海貴(Y’s Road)2:48:23
2位/金子広美(イナーメ信濃山形)
3位/川口うらら(日本体育大学)+1分18秒 <U23首位>
4位/石上夢乃(鹿屋体育大学)+2分16秒
5位/樫木祥子(Team illuminate)+2分50秒
6位/牧瀬翼(WINGS PLUS)+7分38秒

画像:Satoshi ODA

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