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2022/10/18

P-Navi編集部

経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ

経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ

新潟県南魚沼市でJBCFロードシリーズのJプロツアー第12戦目にあたる「南魚沼ロードレース」が9月19日、開催された。このレースは今年の「経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ」と位置付けられ、Jプロツアーの中で最高位のレースレイティング「プラチナ」に指定されている。優勝者の名誉と、獲得ポイントが高いのはもちろんだが、チーム対抗の団体戦が設定されており、優勝チームには深紅の経済産業大臣旗、通称「輪翔旗」が贈られる。


昨年優勝チームTEAM BRIDGESTONE Cyclingから輪翔旗が返還された

新潟県南魚沼市の三国川ダム周辺に設定された1周12kmのコースは、カーブとアップダウンが連続するJプロツアー屈指のハードコース。特にコース後半は道幅が狭く直線区間が短いため、集団が自然と長く引き伸ばされる。レースの距離はこのコースを13周する合計156kmに設定された。
スタート時間になると、選手がスタートラインに集まってくる。個人総合首位の小林海を擁するリーダーチームであるマトリックスパワータグは、前日のレースには欠場したが、このレースには出場が叶い、フルメンバーでエントリー。U23リーダーの白いジャージを着る山本哲央(TEAM BRIDGESTONE Cycling)とともに、小林は最前列に立った。


リーダージャージの小林海(マトリックスパワータグ)を最前列の中心に、スタートラインに並ぶ選手

スタート時には気温も上がり、風も強く、タフなコンディションの中での開催となった。


スタート。想定外に気温が高い中でのレースとなった

12時30分、レースがスタートした。アタックの応酬が続く、落ち着かない状況のままレースは推移する。
2周目には前日も先頭を走った入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム)、驚異の超ベテラン、フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)、シクロクロスの全日本チャンピオンも経験した横山航太(シマノレーシング)、海外経験も豊富な伊藤雅和(CIEL BLEU KANOYA)、アリア・キアニ(チームイルミネイト・オープン参加)の5名がグループを作り先行した。力のあるメンバーが揃い、逃げ切る可能性も高い顔ぶれと言えるだろう。先頭5名は好ペースを刻み、後続のメイン集団との差は1分50秒まで開いた。


有力者を含む5名の逃げが生まれた


メイン集団は愛三工業レーシングチームがコントロール

メイン集団は前年優勝した草場啓吾を擁し、前日のレースでも連覇を達成した愛三工業レーシングチームがコントロールに立った。
順調に進んでいるかに見えた先頭集団だが、4周目に伊藤と横山が遅れてしまい、メンバーは3名に絞られた。


3名に絞られた先頭集団


前年度覇者の草場(前から2番目)を擁する愛三工業レーシングチームは連覇を狙う

5周目にキアニも遅れ、2名になった先頭とメイン集団との差は徐々に縮まっていく。さらには、7周目にマンセボがメカトラブルで遅れ、単独になった入部は集団に吸収されてしまう。ここでレースは振り出しに戻った。
6周を残し、再び不安定な状態に戻ったレースは、抜け出しを図る選手たちのアタックの連続に。抜け出しと吸収が繰り返され、大いに揺さぶられた集団からは、消耗された選手たちがこぼれ落ちていく。その中でも、内田宇海(弱虫ペダルサイクリングチーム)と佐藤光(稲城フィッツクラスアクト)が先行する動きが生まれたが、1周あまりで集団に吸収され、レースは再度仕切り直しに。


4名の先頭集団が形成された

ラスト2周、再び入部と、白川幸希(CIEL BLEU KANOYA)が抜け出した。ここに辛くも吸収された内田、さらには全日本タイムトライアル選手権を制し、驚異の身体能力を持つ金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)の2名が合流し、4名の先頭集団を構成。集団が消耗している中で決まったこの動きは、決定的なものになると言えるだろう。
レースは最終周回に入る。諦めず、連続して動きを打ち出してきた内田が先頭4名から遅れてしまう。メイン集団は先頭を捉えるペースアップの足並みが揃わず、勝負の行方は3名に絞られた。


最終周回、先頭を行く金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)、白川幸希(CIEL BLEU KANOYA)、入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム)の3名に勝負の行方は絞られた

抜け出す動きも生まれず、勝負はスプリント合戦へ。最終コーナーを3名で回り、最初にイン側から金子が仕掛け、外側から入部が、中央から白川が伸びる。渾身の加速で伸び、トップでフィニッシュラインを越えたのは入部だった。続いて、白川、金子の順にラインを越え、表彰台の3名が確定した。


「諦めず」2日間に渡って積極的に仕掛け続けた入部が、執念の優勝

このレースで注目が集まるのが、輪翔旗がかかる団体戦。4位に内田、9位に香山飛龍がフィニッシュした弱虫ペダルサイクリングチームが、初の輪翔旗を獲得した。


輪翔旗を獲得し、喜びを爆発させた弱虫ペダルサイクリングチーム

2度も大きな動きを打ち出し、執念で優勝を勝ち取った入部は「優勝したいと思っていた」と述べた上で、「積極的に逃げて、捕まっても諦めず、最後獲れてよかった」と語った。この日の勝因を「根性」と振り返る。連戦の中、まさに「諦めない思い」と「根性」とで勝ち取った優勝だった。
弱虫ペダルサイクリングチームはUCI(世界自転車競技連合)に登録されていないクラブチームだ。入部は「『クラブチームで経済産業大臣旗が獲れたらいいね』と話していた」と、チームの願いが達成できた喜びを噛みしめ、「若い選手が頑張ってくれた」と感慨深げだった。
個人総合のランキングは、序盤からの連勝でポイントを積んでいた小林の首位に変動はなく、リーダージャージを守りぬいた。U23首位のネクストリーダージャージは、7位に入った佐藤光(稲城FIETSクラスアクト)の手に移った。


リーダージャージを守った小林海(マトリックスパワータグ)


ネクストリーダージャージを奪取した佐藤光(稲城FIETSクラスアクト)

ランキングトップを行く小林はここまでですでに4541ポイントを獲得。3位で追い上げる入部(2位は小林のチームメイトのレオネル・キンテロ)は、最高ポイントが与えられるこの「プラチナ」レーティングのレースの優勝で900ポイントを獲得したが、小林との差はいまだ2100ポイント以上開いている。最終戦となる10月29日の今治クリテリウムまでのレース数を考えると、逆転はかなり難しいと言えるが、「諦めない男」入部の終盤の踏ん張りにも注目したい。

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【結果】経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ
Jプロツアー第12戦「南魚沼ロードレース」

1位/入部正太朗(弱虫ペダル サイクリングチーム)4:06:29
2位/白川幸希(CIEL BLEU KANOYA)ST
3位/金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)+00:01
4位/内田宇海(弱虫ペダル サイクリングチーム)+00:43
5位/岡本隼(愛三工業レーシングチーム)+03:06

【経済産業大臣旗】 
1/弱虫ペダル サイクリングチーム
2/マトリックスパワータグ

【Jプロツアーリーダー】
小林海(マトリックスパワータグ)

【U23リーダー】
佐藤光(稲城FIETSクラスアクト)

画像提供:一般社団法人全日本実業団自転車競技連盟

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