石井貴子

「毎日できることを精一杯に」

「またこんな日が来るなんて、信じられないなと思っていました」。
過去にガールズケイリンコレクションを4回優勝、ガールズフェスティバルも2019年に優勝。ガールズケイリンのトップレーサーの一人として、デビューから輝かしい実績を残してきた。
だが、数年前にレース中の落車により長期欠場。戦列に戻ったものの、昨年は練習中の落車により、再び長期欠場へ。「心が折れかかってしまった」と振り返るが、オールスターのファン投票による選出が、復帰を強く後押しした。
一線から離脱はしてしまったものの、「しっかり今できることを精いっぱいやること」を心に留めて、自分なりの戦い方を積み重ねてきた。

そして、G1初出場となる今年6月の第2回パールカップで、復活のストーリーが大きく動くことになる。初日予選を1着でG1初勝利を果たすと、準決勝は4着ながら初日着順が優勢により決勝進出。迎えた決勝では、逃げる奥井迪を2番手で追走し、ゴール前で渾身の差し切り。見事にG1初出場で、初優勝を達成した。レース後に「信じられない」と振り返るほど、鮮烈な復活劇だった。
大ケガを何度も乗り越え、「今の自分が、ちょっと前よりもできるように」と自分に問いかけながら、シンプルに今できることを追求してきた。歩む道の先には、ガールズグランプリの舞台が待っているが、どのレースを走ろうともスタンスは変わらない。「今できることを、しっかりやり切る」。その揺るぎない信念を胸に、4年ぶりのグランプリに臨む。