尾崎睦

新たな強さを身にまとって

6年ぶりに、年末の大舞台に帰ってきた。
もちろん、これまでもガールズケイリンのトップ戦線をけん引する選手の一人として、勝利を積み重ね、グランプリ出場争いを演じ続けてきた。
だが、全身全霊で出場を目指したホームバンク平塚のガールズグランプリ2022は、賞金額で出場圏内をキープしたものの、失格数が選考除外基準に達したため、掴みかけていた大目標が、その手からすり抜けてしまう。
そこから「完全に気持ちが切れてしまっていた」と振り返る＿＿。

それでも、競輪は絶えずレースが続いていく。「もういいや、と思った時期もあった」と、折れかけた心は、どうしてもマイナスの方ばかり向いてしまう。

だが、この見つめなおす期間に、大きく変わったものと、変わらない大きなものへの気づきがあった。 まずは、ガールズケイリンのG1戦の導入だ。グランプリ出場条件にG1優勝が加わったことで、タイトルへの熱き想いが蘇った。
そして、変わらないものは、いつもバックアップしてくれる師匠や仲間、家族の支えだった。「まだいけると背中を押してもらった」ことで、昨年の競輪祭はG1決勝に初進出。止まりかけていた時計が、また大きく動き出した。

今年のG1は優勝にこそ手が届かなかったが、3開催全てで決勝に進出。これを成し遂げたのは、尾崎ただひとり。優勝回数も一昨年の6回から倍以上の14回まで、飛躍的にアップした。
切れかけた気持ちが、一つひとつ繋がりだし、新たな道を指し示す。マイナスに向いていたベクトルは、真っすぐ前を向き、6年ぶりのガールズグランプリ出場をとらえた。
現在、通算優勝回数は99回。自分一人だけではない、新たな強さを身にまとって、大勝負に挑む。