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2018/02/23

Sakura Kimihara

恋して競輪ハンター

恋して競輪ハンター

『恋して競輪ハンター』木三原さくら=7 Hunting

一緒に見た金網越しの景色、彼女にはどう映っていたのだろう__。時々、ふとそんな疑問が私の脳裏を駆け巡ったりします。

先日、日本競輪学校へ足を運んできました。そして、伊豆ベロドロームで行われた113回生(男子)・114回生(女子)の記録会の取材も。114回生には2年前まで一緒にニコニコ生放送の競輪番組「チャリチャン」に出演していた”みいちゅん”こと日野未来生徒がいます。彼女が選手を目指す前、プライベートでもよく一緒に競輪場に行きました。私がこんなに競輪を好きになったのは、一緒に競輪を楽しんでくれた彼女の存在がとても大きかったです。そして、彼女と番組で共演していなかったら、今の私はなかったと言っても過言ではないでしょう。

そんな彼女を取材できるということで、初めて足を踏み入れた競輪学校。まず何よりも驚かされたのは生徒たちの挨拶です。車から降りると近くを歩いていた生徒が立ち止まって脱帽し、元気よく「こんにちは!」と、挨拶してくれました。最初は礼儀正しく元気がいいなと思うくらいでしたが……挨拶は20m先から、トラックの荷台に積まれた大量の自転車の陰から、2階の渡り廊下からと、どこからでも飛んできました。挨拶してくれた人を探して返すのにテンテコ舞い!男子生徒の集団と遭遇した日にはもう大変。当たり前ですが、みんな丸刈り頭。丸刈り頭軍団に挨拶されるという機会はなかなかありませんし、かなりのインパクトで少しトラウマになりますのでご注意下さい(笑)。以後、私たちはなるべく生徒と遭遇しないルートを選んで行動するようになりました。

取材は2日間でした。初日はベロドロームにて午前は200mFD(フライングダッシュ)、午後に1000mTT(タイムトライアル)。2日目は競輪学校内にある333mバンクで2000mTTの記録会が行われました。記録会の様子や結果は奈良記念開催中にニコ生で放送予定ですので、ここでは割愛させて貰いますが、記録会以外の時間も学校内をジックリ案内していただき、生徒の生活や環境をこの目で見ることができ、とても貴重な経験をさせていただきました。

実は今回の取材……実際に行ってみれば、とても貴重で楽しい2日間だったのですが、最初はあまり気乗りしていませんでした。理由は一つ、絶対に寂しくなると思っていたからです。
日野生徒が選手を目指し、東京から奈良に居を移してからも、競輪学校に入ってからも、当然のことながら以前と比べて回数こそ減ってしまいましたが、定期的に連絡を取り合い、LINEのやりとりや電話の声は何も変わらないように感じていました。だけど、いざ競輪学校にいる彼女と会うと、身体付きはもちろんのこと、話す内容、話し方、目の輝き。一緒に競輪場へいったり、番組で共演していた頃の彼女とはまるで別人のようでした。そう、彼女は着実に競輪選手への道を歩んでいるのです。

選手とファンを隔てているのはたった1枚の金網。でも、この金網の外側と内側は全く違う世界だと、常々、思っています。だからこそ私たちファンは限られた情報から好き勝手な想像をふくらませ、車券を買うのだと思いますし、選手は選手で自分の競走をするのでしょう。
出会ってからズーッと、金網の外側で一緒にレースを見てきた彼女がもう間もなくしたら、本当に金網の内側へ行ってしまうんだ。その現実を受け止めようとすると、やっぱり、とてつもなく寂しい気持ちになってしまいました。

それでも、私の勝手な寂しい気持ちなんか以上に、夢を叶えようとしている彼女はかっこよかった!
グラビアアイドルから競輪選手(ガールズケイリン)を目指すということで、注目を浴び、たくさんのファンから応援されています。しかし、それと同時に批判や下劣な憶測があるのも悲しい事実。ただ、彼女はひたむきに選手を目指すことで、そんな雑音をシャットアウトしてきました。その集中力や練習への打ち込み方は時に周囲が心配になるほどで、競輪学校受験直前には師匠の佐藤成人選手(奈良71期)から「練習休め!」と、怒られたこともあったそうです。
一つ目標を定めたら頑として努力を惜しまず、常に全力を出し切る彼女はきっと私の大好きなタイプの競輪選手になるでしょう。もちろん、大切な友人であることは変わりありませんが、半年後に金網越しの日野未来選手がどんな走りを見せてくれるのか?競輪ファンとして心待ちにせずはいられませんっ!!

【略歴】

木三原さくら(きみはら・さくら)

1989年3月28日生 岐阜県出身

2013年夏に松戸競輪場で
ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー
以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に
競輪を自腹購入しながら学んでいく
番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり
好きな選手のタイプは徹底先行
好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション
“おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている

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