TOP > コラム > ダービーの数字から思うこと

コラム

一覧へ戻る

コラム

2018/05/11

Norikazu Iwai

ダービーの数字から思うこと

ダービーの数字から思うこと

平塚G1第72回日本選手権競輪、通称=ダービーが6日に幕を閉じた。優勝したのは三谷竜生(奈良101期)で、昨年の京王閣大会に続く連覇を成し遂げた。決勝戦は三谷を含め、近畿は脇本雄太(福井94期)に、村上義弘(京都73期)・村上博幸(京都86期)兄弟の4人。千葉が山中秀将(千葉95期)と和田健太郎(千葉87期)、浅井康太(三重90期)には香川雄介(香川76期)がつき、新田祐大(福島90期)が単騎という組み合わせだった。平原康多(埼玉87期)の準決勝での脱落はあったが、メンバー的には名前の通った選手が残った決勝戦だった。ただ、レース内容はやや単調な印象……これがG1、それもダービーのファイナルかと思えるほど見せ場に欠けた、個人的にはそう感じてしまった。目立っていたのは近畿勢だけで、そのまま1着から4着までの上位独占に繋がったように思える。

決勝戦のレース内容が売り上げに反映された訳ではないだろうが、6日間の売り上げは135億9,085万7,100円。入場者数は37,791人だった。売り上げ目標は確か150億円だったと、筆者は認識している。
ダービーがゴールデンウィークに開催されるようになって3回目、一昨年の静岡は約153億円。この数字は目標額には達しているが、低い設定だったことも事実。ある関係者は「170〜180億円はいくと思っていた」とまで語っていたくらい。わざわざゴールデンウィークに日程を合わせたのだから、153億円という数字は周囲の期待を裏切ったとも言えた。
昨年の京王閣は約146億円で、平塚競輪の関係者は最低でも前年より上をいくと考えていた。しかしながら……6日制のG1では下から数えた方が早い惨敗に終わってしまった。

さらに筆者が驚いたのは売り上げよりも入場者数で、5月6日の最終日でも約8,000人。
「平塚はさすがだ、よく入っている」という声はあったが、平塚競輪場のキャパシティを考えれば、1日=10,000人が最低ラインだろう。
この5年間、平塚競輪場の入場者数は激減した。“日本一の競輪場”とまで言われた面影を感じられない。今回のダービー取材はスケジュールの関係で、5月3日のガールズケイリンコレクションしか行けなかったのだが、その時にまず肌で感じたのは観客の少なさ。あくまでも感覚的なものになるけれども、筆者の知っている平塚競輪場とは思えないほど。単純に人が集まらなければ売れるはずがない。場外・ネット投票が主流であっても、入場者数は売り上げのバロメーターになっている。たった1日だけ平塚競輪場へ足を運んだだけだったが、売り上げで苦戦することは容易に予想できた。

ゴールデンウィークにダービー開催を持ってきても売り上げ減に歯止めがかからない現実。根本的な解決策がないところで、日程変更という発想で打破できていない現況。この場で何度も筆者は書いてきているが、関係団体は本当に競輪業界の将来を考えているのか?ファンが何を望んでいるのか?今回の数字(売り上げ・入場者数)を見て、改めて真摯に受け止めてもらいたい。
来年のダービーは松戸競輪場にて開催される訳だが、ご存じの通り333m走路である。333m走路が悪いとは思っていないけれども、レースが単調になるという懸念は拭えない。もし仮に来年の数字(売り上げ・入場者数)が今年を下回ったら、ゴールデンウィークの開催を見直すべき。日程よりもまず先に“どうしたら競輪自体の人気が回復するのか?”を議論すべきであろう。

ページの先頭へ

メニューを開く