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2018/11/14

Yuji Yamada

“帝王”山田裕仁の競輪哲学 Vol.35

“帝王”山田裕仁の競輪哲学 Vol.35

今年の特別競輪も小倉G1競輪祭を残すのみとなりました。毎年のように言っていることですが、1年が「アッ!」という間に終わっていく感覚になっています。これって、歳を取るごとになおさら早く感じると聞くので、嫌な傾向なのですけれども(笑)。

ほんの1年前までは新田祐大(福島90期)選手の一強時代がいつまで続くのだろうか?と、思っていました。今年初の四日市G1全日本選抜こそ新田選手が優勝しましたが、その後は脇本雄太(福井94期)選手を先頭に、近畿勢が旋風を巻き起こしています。平塚G1日本選手権では打鐘から勢いよく飛び出して先行する脇本選手の番手を回った三谷竜生(奈良101期)選手が差して優勝。続く岸和田G1高松宮記念杯も打鐘から先行する脇本選手の番手から三谷選手がまたもや差し切ってGI連覇。そして、いわき平G1オールスター競輪では先行した脇本選手が逃げ切り、遂に念願のGI初優勝。続く前橋G1寬仁親王杯でも脇本選手の勢いは止まらず、圧倒的なスピードで捲ってのGI連覇と、現在は近畿勢がGIレース4連覇中です。
昨年はダッシュを活かした捲りが主な新田選手が優勝なのか?もしくは新田選手のスピードについていって差せる選手が優勝なのか?でした。今年に入り、2020東京五輪に向けて、ナショナルチームの活動が増えています。その為に新田選手や深谷知広(愛知96期)選手の参加が減っていることあるのかも知れませんが、脇本選手の脚力も上がり近畿地区の選手の活躍が多くなっている現況。このように中心となって活躍できる自力選手がいる地区が、他の選手たちにも勢いをつけていることが分かります。

それでは、年末の大一番であるKEIRINグランプリ2018の出場権獲得に向けて、平成最後の小倉GI競輪祭の結果はどうなるのか?ドーム開催、室内ということもあり、脇本選手が参加してくる(原稿執筆時点では参加)ならば、近畿地区の選手が圧倒的に有利な開催になるとは思います。
北日本地区は新田選手が不参加ということで、渡邉一成(福島88期)選手の調子が鍵を握っていると思います。
関東地区はまだまだ平原康多(埼玉87期)選手頼みの感じ強く出ているような印象。
南関東地区は郡司浩平(神奈川99期)選手が復調の兆しも、まだ一時期の勢いまでは感じられないので中心となれる自力選手が必要。100期代の渡邉雄太(静岡105期)選手あたりの安定感が欲しいところですね。
中部地区は深谷選手頼みというところがありますが、その深谷選手が不参加ということで……自在に浅井康太(三重90期)選手が巧く立ち回れるかが勝負となり、先行力ある竹内雄作(岐阜99期)選手の走りがポイントになるかと。
中・四国地区は親王杯決勝で存在感のある走りができ、その後の地元・防府記念でG3初優勝するなど成長してきた清水裕友(山口105期)選手を筆頭に、小川真太郎(徳島107期)選手、太田竜馬(徳島109期)選手といった100期代の頑張り次第でしょう。
地元・九州地区は山崎賢人(長崎111期)選手が順調に成長しています。記念競輪初Vとなった取手では一次予選からオール1着での完全優勝!加えて、今年はG1、G2決勝戦を走った経験もあるのは大きい。デビューから1年余ながら立派な中心選手であります。
このように見ていくと、どの地区も若手の成長が必要不可欠。いや、地区ではなくて、競輪界全体がそうなのです。

今年の競輪祭は初のG1ナイター開催で、6日制となっています。さらに1〜3日目はガールズケイリンのガールズグランプリ2018トライアルレースもあり、決勝戦は競輪界初のゴールデンタイム生放送の予定です。まさに初もの尽くしで、競輪界が新時代に向かって発展する契機になれば嬉しく思います。そして、平成最後のG1レースに相応しい、記憶に残る開催にして欲しいと、心から強く願っている次第です!!

【略歴】

山田 裕仁

山田 裕仁(やまだ・ゆうじ)

1968年6月18日生 岐阜県大垣市出身
1988年5月に向日町競輪場でプロデビュー
競輪学校の同期で東の横綱・神山雄一郎(栃木61期)、西の横綱・吉岡稔真(福岡65期・引退)らと輪界をリード
“帝王”のニックネームで一時代を築いた
2002、2003年の日本選手権競輪(ダービー)連覇などG1タイトルは6つ
KEIRINグランプリ連覇を含む史上最多タイ3度の優勝など通算優勝110回
通算獲得賞金は19億1,782万5,099円。
2002年に記録した年間最高賞金2億4,434万8,500円はいまだに破られていない
自転車競技でも2001年のワールドカップ第3戦(イタリア)で銀メダルを獲得するなどの実績を残した
2014年5月に引退して、現在は競輪評論家として活躍中
また、競走馬のオーナーとしても知られる

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