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2021/03/04

Sakura Kimihara

恋して競輪ハンター

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恋して競輪ハンター 80 Hunting

G1第36回読売新聞社杯全日本選抜競輪が川崎競輪場で開催されました。55年ぶりの川崎競輪でのG1開催。チャリロトの特設サイトに松井宏佑(神奈川113期)選手は「郡司(浩平・神奈川99期)選手はこの開催をオリンピックと、言っているそうで……」というコメントを寄せていました。郡司選手をはじめ、地元G1への並々ならぬ決意__。こうしたコメントからもヒシヒシと、その強い思いが伝わってきたものです。

決勝戦、展開は一本棒。南関東地区に移籍して、初めてのG1となった深谷知広(静岡96期)選手が地元の郡司選手、和田健太郎(千葉87期)選手を連れて、外連味(けれんみ)のない先行を見せました。レース後の清水裕友(山口105期)選手のコメントからの推測になりますが、深谷選手のあの勢いの先行は別線にとっては予想外だったようですね。決勝戦に乗ったからには誰もが獲りたいG1タイトル。また、深谷選手自身は既にタイトルを複数、獲得している競輪界を代表する選手の1人です。初めて決勝に進出したルーキー選手がするような名前売りの先行はしないと、考えても当然のこと。
しかし、レースを見て、深谷選手の先行に迷いはなかったと、私は感じました。そして、その走りを受けて、郡司選手が最終BSで番手発進。別線の追い込みを振り切って、悲願の地元G1優勝を獲得しました。
結果的に深谷選手は9着でしたが、静岡に移籍し、新天地で高みを目指す決意。さらにその初戦として南関東地区のエース・郡司選手を優勝へ導いた。『静岡の深谷知広』を競輪界に改めて知らしめた、そんな走りに映りました。

この決勝戦を見て、みなさんは何を感じましたか?
勢力図が大きく変わるかも知れない。私はそう感じました。
深谷選手の移籍は南関東の自力選手の層を一気に厚くさせたと思います。これまではカマシや捲りの一撃を武器とする選手が多かった南関東。そのため、特別戦線では捲り不発や届いても1人だけ、そのようなレースが多くなり、どうしても勝ち上がれる人数が少なくなっていました。そこにラインを引き連れ、2周、駆けられる強いスター選手が移籍してきた訳です。元々、選手数の多い南関東にラインを連れて勝ち上がれる選手が加わったことはこれからのレースにも少なからず影響してくるのではないでしょうか。
どんな爆発的な脚力のある選手でもG1決勝戦を1人で戦って、勝てる選手はいないと、言っても良いかも知れません。現在の競輪のレースでは決勝戦で自分にどんなラインができるのか、そこも重要なポイントになると、言えるでしょう。
たった1人の選手の移籍がこの先の競輪界に大きく影響を与えるかも知れない。そんな想像を掻き立てられる程、改めて深谷選手の存在感を覚えました。

その一方で岐阜県出身の私としては__深谷選手を失った中部地区の穴は大き過ぎます。現在のS級選手の数も他地区に比べて少ない中部。このままではかつて一時代を築き上げた中部王国の名が泣きます。新人の山口拳矢(岐阜117期)選手を新たなエースとして担ぎ上げるのか。はたまた、グレードレースでもまだ若手顔負けの走りを見せる吉田敏洋(愛知85期)選手や浅井康太(三重90期)選手が大将となり、まとめ上げるのか。どんな形で中部が復活を見せてくれるのかも、願わずにはいられません。
ゴールデンコンビのいる中国・四国も、安定の関東も、北日本、九州、近畿も。どこの地区もウカウカしていられない現況。競輪界は毎年、毎年が戦国時代。2021年はどの地区が勢力を伸ばすのかに要注目ですっ!!

【略歴】

木三原さくら(きみはら・さくら)

1989年3月28日生 岐阜県出身

2013年夏に松戸競輪場で
ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー
以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に
競輪を自腹購入しながら学んでいく
番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり
好きな選手のタイプは徹底先行
好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション
“おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている

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