TOP > コラム > G2ウィナーズカップ

コラム

一覧へ戻る

コラム

2021/03/25

Norikazu Iwai

G2ウィナーズカップ

G2ウィナーズカップ

3月25日から三重県の松阪競輪場でG2ウィナーズカップが開幕。初開催は2017年なので、今年が5回目の開催になる。『若手の登竜門』や『次世代を担う選手が活躍する』が大会の趣旨であり、第1回の優勝者は郡司浩平(神奈川99期)。この年のKEIRINグランプリ2017開催は郡司の地元でもある神奈川・平塚競輪場であった。優勝賞金は約2,000万円。この時点で郡司のグランプリ出場を信じたファン、関係者は多かった。しかしながら結果は10番手の補欠。この悔しさもあったからこそ郡司は昨年の競輪祭でG1初制覇。そして、今年2月の全日本選抜競輪の優勝に繋がったに違いない。

前述したように『若手の登竜門』という位置付けではあるのだが、第2回の優勝は武田豊樹(茨城88期)、第3回は脇本雄太(福井94期)、昨年は松浦悠士(広島98期)が勝っている。そう、武田、脇本、松浦は既にG1ウィナーの称号を得ていた。

この大会に関しては選抜方法が独特である。S級S班は別にして、1着回数が多い順に選ばれる。それとナショナルチーム強化指定選手Aに2ヶ月以上の所属という項目も。そして、F1開催の1位から3位の回数順(他に詳細の選考もあるが)となっている。
F1での1位から3位の項目と1着回数という部分になるが、前年はS級S班ながらも今年は陥落した選手がいる。ご存知のようにS級S班は基本的にG3以上しか走らない。要するにハイレベルな面々での中で戦い続けていることになる。ここで1着量産はそう簡単ではないのだ。しかし、F1で決勝に進出できなくても、それこそ2、3日目の俗に言う負け戦で1着ならばカウントされる訳だ。予選が着外、極端なところで9着(7車立てならば7着)でも2、3日目に1着ならばウィナーズカップ出場の可能性は高くなる。筆者としてはこの点がどうしても腑に落ちない。勝ち上がりの1着ならばいざ知らず、負け戦の1着が多くても出場できる。車券に貢献している選手という意義もあるらしいが、やはり、素直に頷けないところである。

数十年前、年上の知人から教えていただいたことがある。
「B級ってのがあって、そこでもソコソコ稼げた。逆にA級へ上がると、稼ぎが悪くなる選手もいたくらい。昔はトップ引きってのがあって、誘導員の代わりがいたんだ。誘導員の代わりだから他が落車しなければ車券の対象にならない。1着・9着・1着のパターンもあった」。これをウィナーズカップの選抜方法に当てはめると、この選手は出場に近いということになる。もちろん、時代が違うので、一概には言えないのだが__こういう時代もあったと思うと、プロとしてはいかがなものか?と、思ってしまう。綺麗事だけで済まされないのは重々分かってはいるが、プロの本筋からは外れてしまっているように思えるからだ。
ナショナルチームの強化指定にしても、出場するのは東京五輪から外れたメンバーだ。新田祐大(福島90期)や脇本ならば分かるが、東京五輪には出られないけれども、ナショナルチームにいるから出られるというのも再考の余地ありだろう。筆者の考えが古いと言われたならばそれまでだが、どうもスッキリしない。せめてG3の決勝に進出した回数を選抜方法に加えたり、1着回数も初日に限るなども必要項目になってくるのでは?

ファンに喜んでいただく。一層、ハイレベルな競争を見せる。そのような観点を踏まえると、選抜方法を今一度、見直しても良いのではなかろうか。

最後になるが、今開催の注目選手は誰なのか?筆者は山口拳矢(岐阜117期)を推したい。地元・中部エリアでの開催だけに思い切ったレースを見せてくれることを期待している。

ページの先頭へ

メニューを開く