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2021/10/28

Norikazu Iwai

寛仁親王牌を振り返って

寛仁親王牌を振り返って

24日に幕を閉じたG1「第30回寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメント」で、平原康多が4年ぶり8度目のG1制覇を成し遂げた。平原は幼少期から中学2年までを弥彦村の隣、岩室村で過ごした。そんな関係で今開催には親戚や昔の友人たちが駆けつけ、熱い声援を送ったとのこと。平原にとってはこれ以上ない援軍になったのだろう。しかし長かった。4年間も平原がノンタイトルだったとは思いもよらなかった。

レースで人気を集めたのは4人が揃う東北勢。新山響平が先頭に立ち、2番手は史上4人目のグランドスラムがかかる新田祐大。3番手に菅田壱道で、その後ろが大槻寛徳。対するは吉田拓矢、平原康多、地元・新潟の諸橋愛の関東勢。山田庸平、野原雅也はともに単騎であり、東北VS関東の構図だった。普通に考えれば、新山が早めに出て、新田が番手捲りを放ち優勝。しかし、そう簡単にいかないのが競輪の面白さであり、楽しさなのだ。神々しい弥彦に足を運びたかったのだが、仕事の関係でまたもやネットでの参加となった。

ポイントとして誰が前を取るかだと考えていた。関東ラインが前を取り、そこを東北ラインが抑えにいく。そこで吉田が粘るのか? それとも引いて力勝負に持ち込むのか? 筆者は吉田が前を取ると思い、車券戦術を練った。だが、前を取ったのは東北勢。恐らくではあるが、競られることを嫌った東北勢の作戦ではないだろうか? 後ろから攻めれば、吉田が粘る。そう読んでの組み立てだったのであろう。前を取った以上、新山は突っ張るしかない。

その通りに、新山は新田のグランドスラムに貢献すべく先行した。しかし、ここで誤算が生じる。3番手の菅田が画面から消えた。一瞬、何が起こったのかと思ったが、新山、新田のダッシュに付いていくことができず、平原がその位置を取り、吉田を迎え入れた。3番手に吉田、平原が4番手、諸橋が5番手。東北ラインにとっては、ここが全てであった。吉田もいっぱいいっぱいであったが、敢えて捲りに出た。それは平原のためであろう。捲ることにより、新田も番手から出なくてはならなくなる状況を作りだした。スイッチした平原が新田に乗っていけばチャンスがでてくるからだ。結果はご承知の通り、平原がゴール寸前で新田を捕らえて優勝。ゴール前では新田と絡んだ諸橋が落車し、新田は斜行により失格となった。だが、これは紙一重の戦いをしているからこそだと思っている。

平原は落車が続き、春から夏までは満足な走りができていなかったが、しっかり立て直してきた。「さすが平原」といったところだろう。残念なのは、菅田だ。スポーツ紙のコメントを見ると、力不足を何度も繰り返していた。
そして最後に山口拳矢である。一次予選は勝ち上がったものの、二次予選Aは先行して9着。4着まで残れば3日目の準決勝に進められる二次予選Aでの9着。この結果をどう受け止めるかだ。能力があるからこそ、しっかりと考えてもらいたい。

Text/Norikazu Iwai

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