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2021/11/04

Sakura Kimihara

恋して競輪ハンター

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恋して競輪ハンター 96 Hunting

弥彦競輪場で行われた「第30回寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメント」を、埼玉の平原康多選手が制しました。ビッグレース優勝は2018年高知の共同通信社杯以来。そしてG1は実に4年ぶり、2017年取手の全日本選抜以来のタイトル獲得でした。平原選手が久しくタイトルを獲っていなかったことは知っていたものの、改めて4年という期間を考えると驚かずにはいられません。赤いレーサーパンツを長年はき続け、オールスター競輪の人気投票でも当然上位。今年のファン投票でも1位に輝きました。どんなメンバーであろうと常に「平原選手ならなんとかしてくれる」という期待を背負いながら、G1タイトルに手が届かなかったこの4年。きっと想像を超える重圧、苦しみがあったと思います。そう思って優勝インタビューやレース後の写真を見てみると、少しホッとしたような表情にも感じられました。
私は新田祐大選手の番手捲りに期待し、平原選手との折り返しも買っていました。結果、失格に泣くことになったのですが……。その心と財布の痛みを相殺しても余りあるほど、平原選手の走りに感動しました。


寛仁親王牌決勝の最終HS、関東ラインは3番手確保して通過。

北日本勢につっぱられたところで、すかさず3番手を確保する動き。そして、迎え入れてもらった吉田拓矢選手が再び捲りを打ち、不発になったところで上手く切り替え、直線勝負で差し切る強さ。「強い平原選手が帰ってきた!」と感じました。
また、同時にこうも思いました。「これぞ関東の競輪だ」と__。
番手を回って、最初から2段駆けで勝ちに行くのではなく、自分もラインの一員として機能し、役割を果たして勝ちに行く。ラインの全員にチャンスがあるように組み立て、補い合って走る。私が競輪を始めた頃から、関東は平原選手、そして武田豊樹選手を中心に、そのような競輪をする印象でした。今回の決勝も、苦しい組み立てながら、前を回った吉田選手にもチャンスはあったと思います。落車してしまいましたが、平原選手の後ろを回った諸橋愛選手にも。そういった競走を作った平原選手のさすがの動き、その走りに応えるかのように再び捲りに行った吉田選手の走り。互いの想いがレースの一瞬の中で通じ合い、共鳴し合うような強い関東の競輪を見たと感じました。

ひょっとしたら「やっとここまで来た」ということなのかもしれません。強い若手の自力選手が毎年のようにデビューしながら、なぜ関東勢がタイトルから遠ざかっていたのか、ずっと不思議でした。でも考えてみると、補い合ってラインの総合力を高めてきた関東の競輪をするには、平原選手の一強すぎたのかもしれません。それは脚力だけではく、考える力、レースを読む力などの頭脳も含めて。それが吉田選手のようにだんだんと経験を積み、自身も優勝のチャンスを狙えるような自力選手が育ってきたことで、平原選手がこれまでやってきた競輪、そしてやりたい競輪を決勝の舞台でできるようになり、それが今回のG1優勝につながったのではないでしょうか。
一人が強ければ何とかなる、競輪のライン競走はそれほど甘いものではないのでしょう。ライン全員にチャンスがあるように、という関東の目指す競輪においては特にそうなのかもしれません。バランスや思惑が通じ合わなければ、逆にそれが脆さになる。「ライン」というチームとは言い切れない曖昧なものだからこその難しさ、繊細さがそこにはあるのだと思いました。


4年ぶりのG1制覇を成し遂げた平原康多選手

平原選手がG1優勝でグランプリ出場権を獲得し、高松宮記念配を制した宿口陽一選手と合わせて、関東からは2名がグランプリ出場を決めています。残るG1はあと一つ、競輪祭のみです。今年の競輪界もいよいよ佳境に入ってきましたね。最後のタイトルを誰が獲るのか、その時、誰が決勝に残り、賞金を積み上げているのか__。暇さえあれば賞金ランキングを見ちゃうような、そんな日々が今年もまたやってきます!

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【略歴】

木三原さくら(きみはら・さくら)

1989年3月28日生 岐阜県出身

2013年夏に松戸競輪場で
ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー
以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に
競輪を自腹購入しながら学んでいく
番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり
好きな選手のタイプは徹底先行
好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション
“おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている

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