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2021/11/17

Norikazu Iwai

全てが決まる競輪祭

全てが決まる競輪祭

脇本雄太の「KEIRINグランプリ2021」の不出場が決まった。東京五輪が終わり、数場所は元気な姿を見せていたが、前回のG1寛仁親王牌・世界選手権トーナメントを欠場。そして、まさかまさかではあるが、競輪祭の欠場も発表された。欠場理由は色々と囁かれているが、腰がどうにも悪いらしい。腰痛というのは競輪選手にとって職業病みたいなもの。しかし、選手としての夢舞台であるグランプリに出られる可能性がある最後の大会まで欠場とは……。まだ情報が詳しく入ってこないので、ハッキリとしたことは言えないが、早く元気な姿を見せてもらいたいものだ。

東京五輪組では新田祐大と小林優香が競輪祭に全てを賭けている。新田はG2共同通信社杯、G1寛仁親王牌と絶好の展開を生かせなかった。特に寛仁親王牌を勝っておけば、グランプリ出場は決まっていたはずだった。これだけチャンスをもらいながら優勝できないとなれば、今回も苦しいか。だが、新田には底力がある。人をアテにせず自力で組み立てられれば、これほど強い選手はいないのだ。東京五輪は不完全燃焼に終わり、本業である競輪でもグランプリに出場できなくなることは許されないだろう。
これは小林にも言える。最近になって2024年のパリ五輪を目指すという報道があった。挑戦することはいいことだが、競輪ファンとしてみれば、競輪場で小林の強さを直に見てみたい。ガールズグランプリに出場するためには、今回のトライアルで優勝するしかない状況だ。新田と全く同じではあるが、小林の方がチャンスがあるとみている。児玉碧衣と違うブロックに入ったのも好材料になるだろう。堂々とした競走で、小林らしさを見せてもらいたい。

そしてグランプリの賞金争いである。松浦悠士、平原康多、郡司浩平、古性優作、宿口陽一のタイトルホルダーに加え、清水裕友までは、ほぼ当確だろう。競輪祭の優勝者を入れるならば、残りの椅子は二つ。守澤太志、佐藤慎太郎がややリードしているが、山口拳矢や浅井康太も調子を上げており、勝ち上がり次第では逆転のチャンスが出てくる。もちろん、タイトルを獲ってグランプリに出場することがベストではあるが、やはりグランプリ出場は選手の夢である。そのため、初日から激しい争いが繰り広げられる。仮に、すでに決まっている選手が優勝すれば、山口拳矢がボーダーライン上となる。

ガールズケイリンでは25連勝のガールズ記録を更新した児玉碧衣が石井寛子を猛追している。選考用賞金ランキングの上位5名(前検日段階の順位は石井寛子、児玉碧衣、小林莉子、高木真備、坂口楓華)と、今回のトライアルレースを優勝した2名となる。ただ、高木と坂口の差は約5万2,000円、坂口と6位の尾方真生は約18万円差となっており、道中での戦いも見ものだ。世界選手権で初の銀メダルに輝いた佐藤水菜は、TCL(UCIトラック・チャンピオンズ・リーグ)に出場のため、トライアルレースは欠場。世界選手権での偉業を考えるならば、推薦でガールズグランプリに出場させてもいいのではないかと思う。ガールズの場合は男子と違い、推薦をどうするか決まっていないのだろうか。こういったところも遅れていると感じる。世界で結果を残した人間には、それなりのご褒美があってもいいのではないだろうか。

Text/Norikazu Iwai

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