売り上げ増がつづく公営競技
7車立ての競走が定着し、新しい競輪と言われるピスト6も始まった競輪界。新型コロナウイルスの影響はあったが、ネット投票などが好調で、売り上げは伸びている。相変わらずミッドナイト競輪は堅調で、モーニング競輪の売り上げも順調。業界としては、嬉しいことだろう。
しかし、単純に喜んでばかりはいられない。ボートレースの2021年次の売り上げが発表された。その額は、なんと2兆3301億8782万3700円。2兆円を超えたのは1992年以来で、過去最高だった1991年の2兆2200億1045万800円をも超えたレコードとなった。地方競馬もまだ発表はされていないが、1兆円前後の攻防になるという話しを聞いた。景気のいい話しである。ボートレースでは昨年12月19日に行われた「グランプリ優勝戦」で発売額が42億7752万6800円があった中、大本命が転覆して後続も被害にあい、最後までゴールを通過したのは2艇のみとなった。このため3連単、3連複は不成立となり、売り上げの96%にあたる41億1426万3700円が返還された。それにも関わらず、業界全体の売り上げが2兆を超えた。
過去に何度も書いて来たが、ボートレース場はすでに若者や家族連れで十分楽しめる一種のテーマパークのようになっている。今の時代、ただのギャンブル場としては人は来ないであろう。広告宣伝も競輪業界の比ではない。以前は俳優の田中圭が話題を集めたが、今年は歌舞伎役者の中村獅童を新CMに起用している。中村獅童と聞いて驚いた。あの中村獅童がボートレースの顔として登場するのだから。彼の役者としての経歴は言うまでもない。日本を代表する役者である。ギャンブル色が付くのを嫌がる俳優もいるが、中村獅童が引き受けたのはボートレースを単純なギャンブルだけと見ていないからだろう。
横道に逸れてしまったが、話しを売り上げに戻そう。ボートレースのターゲットはJRAに向けられている。地方競馬もさらなる高みを目指している。競輪業界も2020年度の7499億9019万6400円を超えることは確実であろう。果たして、売り上げはどもまで伸びるのか気になる。しかし、内部だけで8年連続の売り上げ増だと喜んでいるようではダメだろう。スポーツ新聞を見ても、競輪の記事は年々縮小化されている。それに対してボートレースは拡張が止まらない。広告宣伝もそうだが、競輪LOVEの筆者としては、外に目を向けてもらいたい。
Text/Norikazu Iwai
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