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2022/03/16

岩井範一

無観客の卒業記念レース

無観客の卒業記念レース

日本競輪選手養成所の卒業記念レースの日程が発表された。今回の対象は121・122期生で、4月5日に開催を1日に短縮して行われる。新型コロナウイルスが猛威をふるい、国民には3回目のワクチン接種が始まっている。まん延防止等重点措置も3月21日まで延長されている都道府県もある。油断はできないが22日以降は解除されることを切に願っている。競輪ファンとして、いや国民の一人として、一刻も早く平常の時間に戻ってもらいたいと思う。
そんな中ではあるが、競輪や他のスポーツも有観客でレースやゲームを行っている。18日に開幕する第94回選抜高等学校野球大会も上限を決めながら有観客で行われる。プロ野球やJリーグなどもファンの声援がついている。それなのに、今回の卒業記念レースは無観客だという。JKAが発表した文章には、「新型コロナウイルス感染拡大防止策の徹底を図るため無観客での開催とさせていただきます」とある。理解できない決定である。盛り上がった北京五輪も、各地でパブリックビューイングが開かれた。全員がマスクは着けているものの、テレビ画面越しにも声を出しているのがわかる。
どうして卒業記念レースだけがダメなのだろうか? 以前も書いたことだが、生徒は約1年間、競輪選手になるために死にものぐるいで頑張ってきた。親に無理をいってきた生徒もいれば、選手になって親孝行をしたいという生徒もいる。甲子園や普段の競輪開催と比較するまでもなく、人数は少ない。親にしてみても、子どもの晴れ姿をみたいというものだろう。これが緊急事態宣言中ならば、無観客開催は理解できる。しかしながら、今回は他の競技でも観客を入れているし、解除されるのは明らかだ。

どうして家族だけの観戦を許さないのだろうか? 大応援団は無理としても、候補生一人に両親や兄弟など2人くらいは観戦を認めてもいいと考える。観戦するならば事前のPCR検査はもちろん、ワクチン接種証明書、2週間の行動履歴を示せば問題ないと思うのは、筆者だけであろうか? 関係者が何をもって無観客という判断を下したのか、聞いてみたいものだ。少ない人数の卒業記念は無観客開催で、数千人が入る普段の競輪開催がOKでは、説得力に欠ける。ましてや屋外でのレースなのだから、室内競技に比べてもリスクは低いはずだ。当日はSPEEDチャンネルとYouTubeライブで配信されるというが、SPEEDチャンネルを見るにはお金を払って会員にならなければならない。新規会員獲得のためなどと穿った見方をされてしまうこともあるだろう。コロナウイルス感染防止策に対して、自信がない証拠とも思ってしまう。
もちろん感染症拡大防止は大切であるが、関係者にはもう少し柔軟な対応もお願いしたい。

Text/Norikazu Iwai

※写真はイメージです

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