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2022/04/07

岩井範一

高木真備の電撃引退

高木真備の電撃引退

寝耳に水とは、こういうことを言うのだろう。ガールズケイリンの人気レーサー、高木真備が突如、引退を発表した。突如ではなく、電撃的な引退といった方がいいかもしれない。昨年末の「ガールズグランプリ2021」で悲願の優勝を果たし、これからは児玉碧衣との2強時代が到来すると確信していた筆者にとっては、ただただ驚くばかりである。4月3日にホームバンクの京王閣で行われた「ガールズグランプリ2021優勝報告会」で、いきなりファンに向けて話し始めたそうだ。雨の中、高木を見ようと集まった多くのファンにとっては、天国から地獄、そんな感じだったであろう。
日本競輪学校(現、日本競輪選手養成所)の106期として2014年5月に奈良競輪場でデビュー。同期には東京五輪にも出場した小林優香、実力者の千葉の石井貴子、同じ東京の奥井迪、結婚・出産を経て引退した小川美咲らがいた。在校順位は2位と立派だったものの、小林の強さが突出しており、当時はあまり目立つ印象ではなかった。デビューしてからも小林、石井、徹底先行の奥井が注目されていた。
筆者が印象深いのは、ガールズケイリンのポスターだ。小川美咲と起用され、反響は大きかった。記憶によれば、森のような場所で白い衣装に身を包んだ高木と小川。もう一つは、鎧(よろい)をまとった2人のポスターである。白い衣装の方はアイドル顔負けだったし、鎧は戦う女子選手としてケイリンにも結びついていた。コツコツと努力を積み重ねていった高木は、そこからトップまで登り詰めた。
普段の開催では優勝できても、なかなかビッグレースでは勝てなかった。その中で、高木隆弘(神奈川64期)との出会いがあり、大きく彼女は成長できたと聞いた。タイトルホルダーである高木隆弘の言葉は、それこそひとつひとつ重みがあったのだろう。練習から普段の生活まで、高木隆弘は親身になって面倒をみていたらしい。

そんな高木真備が27歳の若さで引退とは、いまだに信じられない。ガールズグランプリを獲って夢が叶い、モチベーションがもう保てなかったとのこと。人生の決断である以上、尊重するが、一ファンとしては悲しい限りだ。今後は保護犬、保護猫の活動をしていくと話していたのは、動物好きの高木らしいだろう。具体的なところも、気になるところだ。人気、実力を兼ね備えたレーサーの引退は本当に寂しい。しかしながら、この決断を快く思い、送り出してあげることがファンとしての礼儀であると考える。
あっという間の8年だったが、記憶にも記録にも残るレーサーだった。

Text/Norikazu Iwai

Photo/Perfecta Navi編集部

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