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2022/09/28

岩井範一

共同通信社杯を振り返って

共同通信社杯を振り返って

19日に幕を閉じたG2「共同通信社杯」は、神奈川の郡司浩平が2019年の大会以来となる優勝を飾り、賞金2,581万円を獲得して、地元・平塚で12月30日に行われる「KEIRINグランプリ2022」出場に大きく前進した。

決勝は南関東が郡司を先頭に、和田真久留、内藤秀久と神奈川勢が3人。平原康多に武藤龍生、神山拓弥の関東勢。松浦悠士に柏野智典の中国コンビ。そして佐藤慎太郎が単騎という構図になった。
メンバーを見て真っ先に思ったのが、徹底した先行型が不在ということ。郡司、松浦、平原と自力は3人いるが、先行のイメージはない。3者とも勝ち上がりやG3でなら先行もあるだろうが、優勝賞金が約2,500万円というG2決勝となれば、やはり考えにくい。車券戦術の上で、果たして誰が逃げるのか、頭を悩ませた。筆者が出した結論は、松浦。ここ一番の勝負度胸、思い切りの良さは松浦だろうと考えた。例えラインが2車でもカマしていくのではないかと判断。そうなれば、狙いは柏野。すんなり番手を回れば、ゴール寸前で松浦を差し切りまであるはずだと思い込んだ。

ところが、レースで先行したのは郡司だった。打鐘前から前に出て、後続を気にしながら、誰も仕掛けてこないとみるや、そのまま先行態勢に入った。松浦が後方から捲るが、これを番手の和田が牽制。この時、和田は、牽制しながら出て行ったようにも見えたが、自転車が前に出ない。ということは、郡司の掛かりも、ものすごく良かったということだろう。郡司はそのまま逃げ切って、見事に優勝を果たした。

これまでの郡司を見ていて、どうしても一度動いて、いい位置を取ってからの捲りというイメージがあった。ただ、今回のように大舞台で先行して逃げ切れるのだから、本人も自信がついたことだろう。最近はビッグレースであまり目立った結果を残せていなかっただけに、KEIRINグランプリに弾みがついたことは事実であろう。こういったレースを見せると、他の選手もやりにくくなる。今までは郡司の動きを予測できたとしても、今後はそれがなくる。それだけでも郡司は、今後優位にレースを進めることができる。賞金だけでなく、それ以上に得たものが大きかったのではないだろうか?

ティアラカップ勝者の奥井選手
ティアラカップを制した奥井迪

また共同通信社杯の最終日・第11レースに行われたガールズケイリンの「ティアラカップ」は、40歳の奥井迪が逃げ切り、悲願のタイトルを獲得した。先行にこだわるスタイルを貫き通してきただけに、ファンも嬉しい優勝だっただろう。逃げて結果が出なかった時期もあったが、今までやってきたことが報われた感じがした。一方で、児玉碧衣はいつものような圧倒するレースが見られなかったのが残念でならない。

売り上げは前年比22.8%増も、目標の80億円には届かずの74億2,849万1,000円。このところ好調だった売り上げだが、また気を引き締めてもらいたいものである。

Text/Norikazu Iwai

Photo/Perfecta navi編集部

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