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2022/12/21

森泉宏一

『森泉宏一の実況天国』Vol.86

『森泉宏一の実況天国』Vol.86

先月から今月にかけて熱戦を展開してきたサッカーワールドカップ。
我らが日本代表も「新しい景色」を見るために奮闘しましたが、惜しくもベスト16で姿を消しました。
ドイツやスペインといった優勝候補から白星を奪い(公営競技的にいえば5桁、あるいは6桁配当の勝利?)、しかも予選リーグ首位通過という快挙! 改めて、勝負事は何が起こるのか分からない。そう教えられた大会でもありました。
今大会は夜遅くのキックオフではありましたが、多くの方々が夜ふかし、あるいは早起きをして対応。かくいう私も、全試合ほぼリアルタイムでの観戦に成功しました。
なぜ、そんなことができるのか__。
やはり勝負事。結果が分からないから見る、未来を知りたいから見る、というのがあるのではないでしょうか。
これは公営競技も同じ。
購入した車券、舟券、馬券の行方。
結果への道のりに、一喜一憂するのは通ずるものがあるのでは、と感じます。

さて、前回に引き続き、今回も年末の大一番「SGスーパースター王座決定戦」のトライアルメンバーのご紹介。
今年は出場16選手の紹介を、前後半の2回に分けて投稿しています。
前回は川口、伊勢崎所属選手をご紹介。
※前回コラムはこちらをチェック

そして今回は、浜松、飯塚、山陽所属の選手編でお楽しみ下さい(優出・優勝回数、1着本数は12月20日現在)

まずは浜松勢から。

鈴木圭一郎
【鈴木圭一郎(浜松32期)】
2022年:優出23回、優勝8回、1着本数88本
・SG優勝者(オールスターオートレース)
・各場競走成績第1位選手
・SGプレミアムカップ優勝戦得点上位選手

今年は青山周平(伊勢崎31期)選手からNo.1の称号を取り戻すことに成功。年間1着本数も青山を上回る数字をマーク。しかし記念戦線ではオールスターで自身11個目のSGタイトルを手にしたものの、G1制覇は無しと意外なシーズンを送っている(G2は小林啓二杯で優勝)。今年のグレードレースでは、準決勝戦での3着や優勝戦の2着が目立つなど、「あと一歩」の印象も強いシーズンだった。
そして、スーパースター王座決定戦制覇は、2016年の1回のみと、やや鬼門か?
とはいえ、今月に入り伊勢崎開催で今年8度目の優勝。優勝戦も試走タイム3.26から3.359の上がりタイムを記録するなど、年末に向けてしっかり上向かせているようだ。
2度目のスーパースターのタイトル獲得には、最大のライバルである青山周平よりスタート先行と言いたいところだが、今年のSG日本選手権優勝戦では、1枠からトップスタートを決めたが、道中で青山が逆転(昨年の王座決定戦では、黒川京介選手にも先行されている)。
大晦日に輝くためには、何かが必要なのかもしれない。

木村武之
【木村武之(浜松26期)】
2022年:優出13回、優勝3回、1着本数50本
・SGプレミアムカップ優勝戦得点上位選手(8位)

今年は年明けから白星を重ね、地元・浜松で開催されたG1開場記念ゴールデンレースで自身通算17度目のG1制覇を経験。夏場あたりは白星のペースは落ちたものの、9月以降の近40走で19勝とペースアップ。9月に開催された特別G1プレミアムカップでは、青山周平に続く準優勝と地元走路で意地を見せた。優勝戦では前を行く青山に離れず付いていく機力を披露。道中では、狙う場面も見せ、まさに「ワントのフルパワー」を見せつけた格好だ。当時の機力の再現があれば、見せ場は十分にありそう。

続いて飯塚勢。

荒尾聡
【荒尾聡(飯塚27期)】
2022年:優出19回、優勝3回、1着本数43本
・各場競走成績第1位選手
・SGプレミアムカップ優勝戦得点上位選手

今年は記念レースでのタイトルゼロに終わったチャリレンジャー(チャリ・ロトスポンサード選手)。
とはいえ、勝負どころの準決勝戦では連に絡み、しっかり優勝戦に駒を進める場面も多かった。昨年大会でも大敗なくポイントをまとめ、王座決定戦に進出するなど、ここぞというときの勝負強さは健在。飯塚のエースが、5大会ぶりに王座のタイトルを九州に持ち帰ることができるか。
スーパースター王座決定戦は2017年大会を制している。

有吉辰也
【有吉辰也(飯塚25期)】
2022年:優出11回、優勝2回、1着本数40本
・SGプレミアムカップ優勝戦得点上位選手(5位)

先月のSG日本選手権オートレースで優勝戦進出。優勝戦はスタートを決め、鈴木圭一郎と青山周平に続く3番手と好ポジションにつけたが、1周3コーナーで落車。しかし、そのスタートで存在感は発揮した。
今年は落車が目立ってはいるものの、その影響を最小限に留めている。前述のSG優勝戦での落車後、翌節のG1競走では初日からいきなり連勝をマーク。
今月の山陽G1の2日目に行われた1着インタビューでは、今年は落車が続いたが、エンジンは良い状態が維持できているとコメント。ただそのインタビューでは、近況のスタートはイマイチ切れていないと話していたが、そのあたりは年末までに修正してくれることを期待。
今年はSGで2度の優勝戦進出と安定した走りを披露しており、大崩れのないレースぶりをトライアルでも見せつけたい。

篠原睦
【篠原睦(飯塚26期)】
2022年:優出9回、優勝2回、1着本数41本
・SGプレミアムカップ優勝戦得点上位選手(6位)

今年はミッドナイトチャンピオンカップで自身4度目のG2タイトルを獲得。そして、SGではオールスターと日本選手権で2度の優勝戦メンバー入りと、勝負どころではしっかりとファイナルに入り込む力を見せている。
近況は11月のSG日本選手権では優勝戦進出は逃したが、5日間で3勝をマーク。そして、オート界屈指のミッドナイトレース巧者として、夜中の優勝回数も多い。それだけに消音マフラーでの開催はどうしても期待をしたくなる。消音マフラーの相性と持ち味のスタートを織り交ぜ、展開を作っていきたいところだ。

高宗良次
【高宗良次(飯塚32期)】
2022年:優出3回、優勝1回、1着本数17本
・SGプレミアムカップ優勝戦得点上位選手(11位)

鈴木圭一郎、小林瑞季とともにSSトライアルに名を連ねた3人目の32期。小林と同様、トライアル初出場を決めた新鋭だ。今年は9月の地元・飯塚でのナイターレースで、10mオープン戦の最内からトップスタートを決めて押し切り。自身通算2度目の優勝を飾った。
そして、ハイライトは何といっても、SGオールスターでのファイナリスト入り。準決勝戦では終始後方を走行していたが、3人落車に1人失格。さらには最終周回で田村治郎(伊勢崎30期)選手と浦田信輔(飯塚23期)選手が競ったところに道が生まれ、突き抜けて2着。諦めなければ、何かが起きることを証明した。
並み居る先輩レーサーに立ち向かうためには、とにかくスタート先行! そこからどれだけ逃げ粘りができるかにかかっているだろう。昨年大会では黒川京介選手が旋風を巻き起こしたように、今年は小林と共に若い選手がトライアルを盛り上げるというムーブメントを巻き起こしてほしい。

松尾啓史
【松尾啓史(山陽26期)】
2022年:優出14回、優勝2回、1着本数39本
・各場競走成績第1位選手
・SGプレミアムカップ優勝戦得点上位選手

記念戦線では準決勝戦の突破が多く、ここぞで勝負強さを発揮する場面が多い。機力面では波が少なく、常に高い水準にあり、特に冬場はその真価を発揮するシーズンである。
コラム執筆中に開催されていた地元・山陽のG1開催でも軽快な動きを披露。自身3度目のG1制覇を達成している。年末に向け着々と態勢を整えている印象だ。
昨年大会はトライアルメンバーには入れず、王座決定戦の前に行われたシリーズ戦で優勝と意地を見せる形となった。昨年の悔しさ、そしてトライアルメンバーに名を連ねた喜びを走りで表してほしい。

丹村飛竜
【丹村飛竜(山陽29期)】
2022年:優出18回、優勝4回、1着本数54本
・SGプレミアムカップ優勝戦得点上位選手(2位)

今年は3月に浜松でおこなわれたG1スピード王決定戦で自身2度目のG1優勝。G2ではミッドナイトチャンピオンカップを制覇。そして今年の丹村選手といえば、前述のG1準決勝戦から翌々節のミッドナイトレース準決勝戦の間に10連勝を達成。さらには同じ月の3月末からは9連勝を達成するなど、数多くの白星を重ねた。そして、年度が変わった直後のSGオールスターでは準優勝とインパクトを与えたシーズンとなった。
レース場は違うが、今年は消音マフラーを使用するミッドナイトレースでの活躍も目立っただけに、消音マフラーを使用する今大会は好材料となるか。

このコラムが掲載される頃には、王座決定戦まで、あとわずか。
果たして、スーパースター王座決定戦のタイトル獲得経験のある選手が制するのか。
それとも「新しい景色」を見る選手が現れるのか。
注目の5日間。我々も存分に堪能しましょう。

※トップに掲載の写真は、走路改修前の川口オートレース場をバックに記念撮影を行う筆者

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