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2023/06/20

森泉宏一

『森泉宏一の実況天国』Vol.95

『森泉宏一の実況天国』Vol.95

先日のこと。知人夫婦と私、そして私の妻の4人で、東京は上野にある不忍池辯天堂へ行ってきました。芸能や音楽の守り神として有名なスポットで、辯天堂にお祀りされるご本尊は「辯才天」と呼ばれます。また、「辯財天」とも書くことから、金運上昇といったご利益があるとのこと。

不忍池辯天堂

飲食店を営む知人は、毎月ここを訪れては、商売繁盛などを祈っているそうです。お参り後に、御守りなどが置いてあるグッズ(?)売り場へ。さまざまなお守りがある中、私は仕事の飛躍に繋がればと「芸能御守」を購入。同行した妻は金運上昇の御守りをゲット。

その後、我々は飲食店に入り、食事を堪能しながら、当日の伊勢崎オートにて開催されていたG2稲妻賞(最終日)のネット中継を観戦しました。知人夫婦の旦那さんは、オートレース歴うん十年のベテランです。この日の伊勢崎は、湿走路でしたが、入店直後から、知人は的中と好調! さらに、この日に行われた競馬のメインレースも的中と、早くも辯天堂効果が表れておりました。(我々夫婦は揃って全くご利益なく(苦笑))。

そして、迎えたG2稲妻賞の優勝戦。
オートレース界屈指の雨巧者も多く名を連ねたファイナルバトル。
新走路&湿走路。まだデータの少ないこの条件で、どんな技巧を繰り広げるのか。
雨の10メートルオープン。
やはり、1枠の吉原恭佑(伊勢崎32期)選手と、「筑豊の大エース」6枠の荒尾聡(飯塚27期)選手が中心になるだろうと予想。
そこに、スタートで2番手に出られるかという田村治郎(伊勢崎30期)選手、荒尾選手が行けば金子大輔(浜松29期)選手。
「雨の鬼」岡部聡(山陽19期)選手は、スタート劣勢予想でも、この走路ならば終盤の追い上げがありそう?
そして10メートルオープンならば、さすがのNo.1青山周平(伊勢崎31期)選手でも厳しそう?

さまざまな議論が飛び交います。この考えている時間が、何よりも楽しいのです。
ベテランの知人は「宏和(鈴木宏和選手・このメンバーでは湿走路は苦手)がスタート決めて、一本道で3着に残らないかな?」
と、人気どころからの高配当はないかと思案しておりました。

優勝戦のスタート。
やはり逃げる吉原選手と、追う荒尾選手の構図。レースの早い段階から、両者の一騎打ちに。
地元初タイトルを狙う吉原選手ではありましたが、道中で勝機を伺っていた荒尾選手が冷静にとらえ、そのままフィニッシュ!
見事に、今年2回目の優勝を果たしました。2回の優勝はいずれもグレードレース。そして、G2稲妻賞は初制覇となりました(意外だったのは、荒尾選手の伊勢崎での優勝は、これが2回目ということ)。

開催前から話題となっていた伊勢崎オート公式YouTubeの企画で作成された「荒尾うちわ」。
優勝インタビューでは、このうちわを手に、スタンドから応援するファンの方々の姿も力になったとコメント。荒尾選手本人も、うちわを振りながらのウイニングラン。うちわ(それもご自分の)を振りながらウイニングランをする選手を初めて見ました(笑)。

さて、問題はその後。
3枠の内山高秀(伊勢崎26期)選手が田村選手より前に行き、序盤で2番手を奪取。
その後は、荒尾選手に捌かれ3番手になるも、後続の攻めを凌いでいた内山選手。
するとゴール前。2番手を走る吉原選手をチョイ差しでとらえて、2着入線。

G2稲妻賞の優勝戦結果

これにより、3連単は10万円を超える高額配当に! 内山選手が3番手のままの6→1→3で決まっていれば、3万円台前半だったので、約3倍に膨れ上がりました。
内山選手の車券はなく落胆する知人に、私は、
「実は、2連単で持ってます」と一言。
2連単は2万円台で、こちらも高配当。
もっと驚いたのは、隣にいた私の妻も、内山選手2着の2連単を購入していたのです。
これには、さすがに知人も驚きを隠せず、
「なんちゅう夫婦や」と一言(笑)。
「2連単で、この配当はなかなか取れないぞ」
というお言葉をいただき、最後の最後に、不忍池辯天堂のご利益にあずかりました。

当たった者、外れた者、思惑はさまざまではありましたが、前述したように、「予想をする」「展開を考える」という、その時間が公営競技の醍醐味なのです。もちろん、1人でも楽しめるものですが、好きな者同士が集まって、あーでもない、こーでもないと議論を重ねるのが、また楽しい(この日は、酒も入っていたので、なおさら?)

ただ、前述の優勝戦では、知人とはいえ、内山選手の2着を議論のテーブルに持っていく勇気がありませんでした(実は、3→16の2連単まで買っていたとは、なおさら言えず)。
知人も「まあ、内山が2番手スタート行くパターンもあるよなあ」
とは言ってましたが、オッズを見ると、そこから深く突っ込んだ話に持っていけませんでした。

番組や予想会などで、自分の中では自信のある予想も、あまりの人気薄に、予想コメントでは発言できず。
レースのゴール後に、「実は、持ってます」ということが何度かありました(それでも最近は、番組内で収支表示をするようになったので、予想ボードに書くようにしていますが)。
周りの意見を聞いていると、ためらってしまい、せっかく皆で予想をしているのに、自分の中だけで収めてしまうことがあります。
私は常々「予想は自由だ!」「間違った予想なんて一つもない!」と唱えていますが、予想をする上で付きまとうのは、
「それはないよ」
「何考えてるの」
という類のコメント。
これは、よろしくないと考えています。展開や結果に絶対はない以上、どんな予想であれ、結果はどうあれ、正論なのであります(出目や好きな数字予想は別ですが)。他人がとやかく言うことではないのでしょう。しかし、唱えている本人ですら、公表できず、後出しとなってしまうのは、何かを言われそうと考えてしまうから、というのもあります(今回登場した知人は、そんなことは一切言いませんが)。

言われなくても、番組などの予想で、例えば、
「あれ? 誰も〇〇選手の買い目を出してない」
「というか話にも出てない」
となり、次第に自分の予想に自信が持てなくなることも、しばしば。

一つ考えられるのは、オートレースに出会って約7年ですが、自らの知識や意見に、まだ完全に自信が持てていないということではないでしょうか。自分の中で確固たる、軸のようなものは年々、完成しつつありますが、まだまだ勉強の身。それでも番組に出演しはじめた頃に比べれば、自分でも「予想の軸」のようなものに、自信が持てる割合が増してきています。

今後も、ただ予想を出して終わりではなく、そこからさらに自分なりに、自分の言葉で「オートレースを見る面白さ」「予想する楽しさ」というものも、番組を通して伝えていけたらと考えております。

「この展開になったら面白くない? ワクワクしない?」
という予想を、恐れず出していきたいと思います。

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