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2023/12/21

森泉宏一

『森泉宏一の実況天国』Vol.102

『森泉宏一の実況天国』Vol.102

先日のG2レジェンドカップ優勝戦は、加賀谷建明選手(川口27期)が制し、レジェンドカップ初制覇を飾りました。
初日、2日目を見る限り、かなり厳しいシリーズになるだろうというのが大方の見方でした。しかし、とても条件の厳しい準々決勝戦Cを白星で飾り勝負がけに成功。そこからは、生まれ変わったかのような躍動するレースを披露し、見事自身5個目のG2タイトルを手にしました。
何よりファンを驚かせたのは、初日と優勝戦の上がりタイムの差。
初日→3.486
優勝戦→3.353
こんな変貌ぶりを実現できる、まさにファンタジスタ。
これも天才・加賀谷選手の魅力ではないかと、表彰式を見ながら思ったものです。

さて、その優勝戦。
当日の朝、大谷翔平選手のロサンジェルス・ドジャース入団が決定し、大きく報道されました。
こういうビッグニュースが報じられると、公営競技界で騒がれるのが、時事ネタ車券・馬券・舟券。
実は私、この報道後すぐに「X」(旧Twitter)に、
「エンゼルスカラー(赤・3枠)からドジャースカラー(青・4枠)で加賀谷選手と山田達也選手が絡むのでは!?」
という一文を書き込みました。
しかし、一旦、下書きに収め、そのまま失念してしまい、正式にX上に記されることはありませんでした。

そして、レースは4枠の山田選手(川口28期)がスタートを決める展開という、序盤から波乱のムードが漂う展開に。
そこから、3枠の加賀谷選手が山田選手を捉えての優勝。
まさにドジャースブルーが展開を作り、エンジュルスレッドがとらえるという時事ネタ車券。
1着・加賀谷選手、3着・山田選手で3連単は7万4,000円超え。
加賀谷選手本命、山田選手の3着車券もしっかり持っているのに、なぜ中村雅人選手(川口28期)の2着がないのか。個人的には、悔やんでも悔やみきれない優勝戦となりましたが、表彰式での加賀谷選手の表情にだいぶ癒されたものです。

さて、今年もまもなく、年末のスーパースターフェスタ2023を迎えます。
前回コラムに続いて、SGスーパースター王座決定戦・トライアル戦出場選手の紹介記事でございます。
前編と合わせてご覧下さい。
【前編はこちら】

それでは、今回は「SG・プレミアムカップ優勝戦得点」の4位から11位の選手をご紹介!

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【荒尾聡選手(飯塚27期)】
20年連続20回目の出場
荒尾聡

荒尾選手を紹介する前に、ある数字に目が向いてしまいます。それはトライアル出場が20年連続20回目という驚愕の数字です。自身の初出場から皆勤賞が続く偉大な数字を誇る、常連中の常連である荒尾選手は、2017年大会で初めて王座決定戦を制しました。今年は特別G1プレミアムカップで大会初タイトルを獲得! 1番人気に推された湿走路での優勝戦は、レース序盤で金子大輔選手(浜松29期)と青山周平選手(伊勢崎31期)が競る間隙を突き、そのまま抜け出して逃げ切りに成功。見事自身12個目のG1タイトルを手にしました。
その他、稲妻賞(伊勢崎)、オーバルチャンピオンカップ(飯塚)とふたつのG2タイトルを獲得。昨年はタイトル獲得がなく心配されましたが、今年はここまで3つの記念優勝を飾っています。
心配されたのは10月に開催されたG2曳馬野賞(浜松)。3日目に落車し、そのまま欠場。救急病院に搬送され、一度は鎖骨骨折の診断を受け、帰郷。後日行われた再検査では骨折は見当たらなかったそうですが、肩の状態が芳しくなく、地元G2を欠場されました。荒尾選手のコラムでは落車時のヘルメットの写真が掲載されていましたが、衝撃の強さを示す一枚でした。
復帰後は地元G1で優出。先日のレジェンドカップは、状態がもうひとつな走りにも見えましたが、それでも年末にしっかりと照準を合わせてくれるでしょう。
SG開催の際にチャリロトで展開されている特設サイトでも度々記していますが、荒尾選手の準決勝戦突破、優勝戦進出率は本当に高い。すなわち、ここ一番での勝負強さを兼ね備えている証拠でもあります。
昨年のトライアル戦は4日間を3着3本でまとめて決定戦進出と、ここでも大崩れすることなくしっかりまとめてくるあたりは、さすがの一言に尽きます。

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【永井大介選手(川口25期)】
16年連続20回目の出場

永井大介

通算優勝回数100回超え、グレード優勝回数55回を誇る、川口を、そしてオートレース界を代表する選手のひとり。
今年は2月に開催された地元・川口の開設記念で26個目のG1タイトルを獲得しました。優勝戦はスタートで2番手につけ、1周3コーナーで1枠の鈴木宏和選手をとらえてトップへ。青山周平選手、中村雅人選手が追い上げる中、そのまま先頭の座を守り切って優勝を飾りました。
そして8月。大量落車が発生したSGオートレースグランプリ。その1車だった永井選手。胸椎圧迫骨折とあばらが左右1~2本の骨折。、更には左膝の靭帯損傷の重傷を負いました。グランプリは初日から3連勝と勢いに乗る中でのアクシデント。その後欠場となり、復帰したのは約2カ月後の10月中旬。地元・川口開催を2節乗りこなし迎えたSG日本選手権で優出。枠番選択では、節間センター枠からのスタートが安定していたということもで3枠を選択。優勝戦では、その3枠から0mオープン先行に成功。その後2周目に入る前に青山周平選手に捉えられるも、持ち味で見せ場を作り3着に入線。
グランプリでのあの落車は「これは年末に間に合わない、ポイントが取れないのでは」と感じるほどの落車だっただけに、よくぞ復活されて間に合ったなという印象が大きかったというのが、今年の永井選手。
昨年大会は、フライングで決定戦には進めませんでしたが、その分、今年は決定戦へ、という思いも強いはず。
日本選手権同様、センター枠からの一発カマシ。トライアルから期待したいところです。
スーパースター王座決定戦は過去に2008年、2014年、2018年と3度制覇。

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【伊藤信夫選手(浜松24期)】
2年ぶり14回目の出場

伊藤信夫

一昨年はSGオートレースグランプリを制してトライアル戦に出場。王座決定戦まで駒を進めましたが、ここでまさかの勇み足(フライング)。規定により、昨年はどれだけ活躍しても、スーパースター王座決定戦のトライアルメンバーには入れないことが決まりました。
そんな2022年を乗り越え、2年ぶりのトライアル出場を果たしたカリスマ。今年は自身10年ぶり10度目となるSG日本選手権8強入り。今月開催されたG2レジェンドカップでも活発な動きを披露。初日のドリーム戦では序盤に先頭を奪うと、終盤戦で高橋貢選手(伊勢崎22期)に捕まるも、抜き返し再逆転に成功! 結果は2着も見せ場を作り、翌日からは3連勝で優勝戦進出。3連勝、いずれも危なげない走りは、年末に向けて期待を持たせる動きでもありました。

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【鈴木宏和選手(浜松32期)】
初出場

鈴木宏和

強烈なスタート力を武器とする遠州のスタート巧者が、初めてトライアル戦に名を連ねました。
先日、地元・浜松で開催された一般開催では、鈴木圭一郎選手(浜松32期)、青山周平選手、金子大輔選手、佐藤貴也選手(浜松29期)。更に、大物ルーキー栗原佳佑選手(浜松36期)も出場した優勝戦で自身も優勝戦進出。そこで最後ハンデ最内のスタートからトップを奪い、豪華メンバーを従え、価値ある優勝を飾りました。
その浜松開催の初日から、次節・川口開催まで連勝が伸び、最終的には8連勝を記録! 2節連続完全優勝は逃したものの、今勢いに乗っている選手と言っても過言ではないでしょう。
年末に向け、川口の走路、消音マフラーで結果を残したのも大きいところです。
今年はSGオートレースグランプリで優出。更にはG1での準優勝が2回と、欲しいのは記念初優勝のみ。周囲の期待の高さも、年々高まってきています。

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【長田稚也選手(飯塚34期)】
初出場

長田稚也

トライアルメンバーに入るには、SGでの優勝戦進出が絶対条件という追い込まれた状況で迎えた11月のSG日本選手権。このラストチャンスで、見事ファイナリスト入り!(しかも自身SG初優出!)
迎えた優勝戦は、スタートで最後尾8番手も、そこから10周回を追い上げて4着に。これによりSG・プレミアムカップ優勝戦ポイントを獲得し、8位へ滑り込み、見事初出場の切符を掴んだ長田選手。
今年は7月に地元・飯塚G2で記念初優出。その勢いで、翌月開催された飯塚G1では、G1初優出で初優勝を飾るなど、飛躍の年に(表彰式での涙も印象的でしたね!)。この優勝戦では、オートレース界のスタート巧者が揃う中、見事最初の1コーナーでトップを奪うスタート力を発揮。34期生で最初のG1覇者に。更には、すでにG1を制している兄・恭徳選手(山陽32期)と共に、兄弟でのG1タイトルホルダーとなりました。
若手ながらその乗りっぷり、綺麗な走りは、先輩レーサーたちからも一目置かれているそうで、気付けばランクもS級上位と、今や先輩トップレーサーと肩を並べる存在に。
新進気鋭、次世代の飯塚エース候補。トライアル戦ではいい意味で「何かやってくれるのではないか」と期待を持たせてくれそうです。

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【西原智昭選手(伊勢崎28期)】 
9年ぶり2回目の出場

西原智昭

今年はSGオールスターで優勝戦進出。その優勝戦では、先頭争いを演じるなど、実力者の一面を見せた西原選手。
近況は、伊勢崎で開催されたG2レジェンドカップで、地元勢唯一の優出を果たすなど、見せ場を作りました(当大会ではポスターモデルの1人にも起用され、秀逸な表情が印象的でした)。
スタートが速く、スピードと捌きを併せ持つ総合力の高さが売りの選手。予選突破とはなりませんでしたが、SG日本選手権でも、安定したスタートタイミングを披露しました。
記念タイトルがないのが、意外と言われるひとりである西原選手。前回自身が出場された2014年トライアル戦では、3着1本に終わっただけに、久々の大舞台での暴れっぷりに期待したいところです。

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【佐藤貴也選手(浜松29期)】
2年ぶり8回目の出場

佐藤貴也

オートレース界屈指の速攻派で、レースを沸かせる佐藤選手。そして、前に出ると抜きづらい巧みな技も併せ持つ、テクニックに優れる選手です。
今年はSG・特別G1戦線では高い3連対率を誇っていますが、それも前述した技術を有するからこそだと思います。そして、ここまで20優出3優勝と安定した成績を残しています。
先月のSG日本選手権では準決勝戦3着と、惜しくも優勝戦進出とはなりませんでしたが、6日間開催でオール3連対。予選道中では、レース足の良さも目立つ開催となりました。
トライアルの舞台となる川口走路。相性としては地元・浜松に次ぐ単勝率・2連対率を誇り、2度の遠征で2度とも優出。
2年前の12月には川口での連続優勝も経験。更には、昨年のシリーズ戦も、4日間を全て3着以内でまとめてシリーズ優勝戦へ駒を進めるなど、川口走路との相性も悪くありません。

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【高橋貢選手(伊勢崎22期)】
2年連続25回目の出場

高橋貢

トライアル戦出場メンバーの中で最多出場回数を誇る「絶対王者」。
SG21勝・通算優勝回数215回(史上最多)、生涯獲得賞金20億円超え(史上最高額)など、他を圧倒する実績を誇ります。今年は新走路となった地元・伊勢崎で、いきなり2節連続優勝を飾るなど、歴戦の経験値から、さすがの対応力を披露! トライアル戦メンバー入りへのポイントなしで迎えたSG日本選手権で優出し、最後のチャンスを見事モノにしました。
近況はG2レジェンドカップで準々決勝戦8着で準決漏れという衝撃の結果。連勝で迎えた準々決勝戦。スタートからの道中、終始進みがなかったのは気になるところでしたが、その準々決勝戦以外の4日間は全て白星と貫禄を見せました。
昨年大会は、直前の川口一般開催で優勝を飾り、最高の状態で臨んだものの、初日から大きな着が続き、トライアル最終日に1着を飾ったものの時既に遅し。残念ながら順位決定戦に回ることとなってしまいました。
それでも雨など、どんな走路コンディションでも乗りこなす信頼度は変わることなく高いものがあります。
今年52歳はトライアルメンバー最年長。スーパースター王座決定戦では、初となる50代チャンピオンへの期待がかかります。もし優勝となれば5度目のタイトル獲得となり、島田信廣さんの最多優勝回数記録に並ぶかも注目されます。

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