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2019/01/23

Yuji Yamada

“帝王”山田裕仁の競輪哲学 Vol.40

“帝王”山田裕仁の競輪哲学 Vol.40

先日、現役を退いてから初めて大宮競輪場へ。イベントのお仕事をいただき、大宮記念の場内予想会に参加させていただきました。
予想会終了後、ステージ横では連日、サインを求める列ができたことに驚きました。私はもう現役選手を辞めていますし、現在は解説のお仕事ということで競輪界に携わらせてこそしていますが……果たして、私なんかのサインに価値はあるのだろうか?と、複雑な心境でサインを書いていたものです。
大宮記念のイベント参加は開催後半(1/19〜20)でしたが、この2日間で書いたサインの枚数は……昨年、私が1年間で書いた枚数をはるかに上回りました!笑
「スポニチの予想、読んでいますよ!」
「山田さんの解説、テレビで観ているよ。頑張って下さい!」
などのお言葉までファンの方々から頂戴して、とても嬉しく感じたのと同時に、このファンのみなさんの応援があったからこそ現役時代はシンドイ練習も頑張れていたことを思い出しました。
“初心忘れるべからず” とはよく言いますが、本当に初心を思い出し、頑張らなきゃ!と、改めて思える時間になりました。
新年早々、現役を離れた私のサインを求めていただいたファンのみなさんに、この場をお借りしまして厚く御礼を申し上げます。

さて、昨年も同じことを書いていたような気がしますが、シーズンオフのない競輪選手ですけれども、年が明けたら、ゼロからのスタートになります。年末の大行事であるグランプリ開催の余韻も束の間、また、次のグランプリに出場するための戦いが始まっているのです。


[立川記念=S級決勝]

立川記念の優勝者は清水裕友(山口105期)選手でしたけれども、単騎での戦いも冷静にレースの流れを読んで、このシリーズ好調だった竹内雄作(岐阜99期)選手の先行3番手を追走。ゴール前ではあの浅井康太(三重90期)選手を後ろから抜いて優勝。グランプリでも見せ場を作ってくれた選手ではありますが、2019年の活躍も約束してくれるような優勝だったと思います。


[和歌山記念=S級決勝]

続く和歌山記念は池田憲昭(香川90期)選手が小先行する川真太郎(徳島107期)選手の番手から差し切って記念競輪初優勝。初優勝も嬉しいことですが、新年が明けて早々の優勝によって「今年はやれそうな気がする!」というのが選手の心情ですから、池田選手にとっては一層、大きな優勝だったはずです。
このシリーズは昨年のグランプリチャンピオンである三谷竜生(奈良101期)選手も参加していましたが、勝ち上がりの3日間は、3番手から捲りを決めての勝ち上がり。決勝戦は小川真選手の先行をカマシにいくも出切れずに大敗でした。気を抜いた瞬間に疲れは出るものですが、年末の激戦の疲れが抜け切れないままの開催参戦だったのではないでしょうか。ここはコンディションを整えて、次回の特別競輪での活躍を期待したいです。


[大宮記念=S級決勝]

続く大宮記念は矢野昌彦(栃木91期)選手、平原康多(埼玉87期)選手の関東ライン3番手から神山拓弥(栃木91期)選手が優勝。人気は決勝進出者の中で唯一のS級S班の平原選手に集中していたのですが、神山選手が見事に後ろから差しての優勝でした。
このシリーズの平原選手は決勝戦にこそコマを進めていましたが、グランプリでの落車の影響があったようで、いつもの迫力ある動きではなかったように映りました。三谷選手同様、平原選手も次回の特別競輪での復調ぶりを期待したいです。


[大宮記念=S級準決勝、8番車・野口裕史(千葉111期)選手]

この大宮記念で最も目を引かれたのは野口裕史(千葉111期)選手でした。 先行して、村上義弘(京都73期)選手、山崎芳仁(福島88期)選手、山﨑賢人(長崎111期)選手といった一流とも呼べる自力選手の捲りを不発にしての活躍なので、とてもインパクトが強かったです。前を取って、全引きしてのカマシ先行という単調な戦法ではありますが、今後333バンクでの戦いが観てみたいのと、今年の活躍を期待したい選手の1人に名を連ねたのは間違いないですね。

この原稿を書いている時点で3場所の記念開催が終了。S級S班の選手たちキッチリ体調を整え切れていない、万全の状態ではない中での参加なのは事実ですけれども、世代交代の波が押し寄せてきていることを感じさせる1年になりそうな予感がします。
気が早いのですが、今年のグランプリがどのようなメンバーになっているのか?今からとても楽しみになる2019年のスタートでありました。

【略歴】

山田 裕仁

山田 裕仁(やまだ・ゆうじ)

1968年6月18日生 岐阜県大垣市出身
1988年5月に向日町競輪場でプロデビュー
競輪学校の同期で東の横綱・神山雄一郎(栃木61期)、西の横綱・吉岡稔真(福岡65期・引退)らと輪界をリード
“帝王”のニックネームで一時代を築いた
2002、2003年の日本選手権競輪(ダービー)連覇などG1タイトルは6つ
KEIRINグランプリ連覇を含む史上最多タイ3度の優勝など通算優勝110回
通算獲得賞金は19億1,782万5,099円。
2018年末、三谷竜生(奈良101期)に抜かれるまでは年間獲得最高賞金額=2億4,434万8,500円の記録を持っていた
自転車競技でも2001年のワールドカップ第3戦(イタリア)で銀メダルを獲得するなどの実績を残した
2014年5月に引退して、現在は競輪評論家として活躍中
また、競走馬のオーナーとしても知られる

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