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2021/10/06

Sakura Kimihara

恋して競輪ハンター

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恋して競輪ハンター 94 Hunting

9月末に行われた松戸競輪F1「第20回吉井秀仁杯」に、G2共同通信社杯を優勝した山口拳矢(岐阜117期)選手がやってきました!
深谷知広(静岡96期)選手の持っていたデビュー最速でのG2優勝の記録を更新し、年間の賞金ランキングも8位に上昇。グランプリも見えてきた、という話題もあがっていましたね。私たち競輪ファンはグランプリ出場に届きそうで届かないという選手を毎年のように見てきているにも関わらず、それでも期待することをやめられないのは、きっと山口選手のデビューからの勢いとそのカリスマ性に魅せられているからなのでしょう。
共同通信社杯の優勝インタビューでは、父であり元選手の山口幸二さんとのやりとりの中でもありましたが、その競走スタイルには賛否両論。新人競輪選手らしい『ラインを引き連れて先行する』というような王道ではなく、自分の走りを貫いてきた山口選手。その道は決して楽ではなかったと想像しますが、それでもこうして結果を残しました。

初出場だった松戸競輪。山口選手に対する注目は、G2を終えて時間が経っていても、まだまだ高いままでした。放送中のトークテーマになるのはもちろん、ネット放送のコメント欄でも、その走りは議論の的に。G2優勝という結果が、また議論を白熱させているように感じました。
また、競輪ファンの注目は売り上げにも表れていたようです。
初日を終えて、2日目に競輪場へ行くと関係者の方から「山口選手の走ったレースの売り上げが特に良い」という話を聞きました。数千万単位で山口選手のレースの売り上げが違っていました。それは2日目も同様。F1開催では、あまり聞いたことがありません。

「スターって、こうやって生まれていくんだな」

そんな思いを抱きました。話題に事欠かず、そして結果も出し、またその選手が走ることによって売り上げが増える。賛も否も売り上げが物語る通り、すべて彼への注目が故です。そのすべてを圧倒的な力で飲み込んで、もっと大きく、そしてもっと強く輝いていくのでしょう。私は今、その過程を見ているんだとレースを見ながら感じました。

しかし最終日。山口選手は決勝戦2着でした。徹底先行の野口裕史(千葉111期)選手の先行から番手の鈴木裕(千葉92期)選手の2コーナーからの番手捲り。山口選手は中団から捲り追込みを図るのですが、鈴木選手の後ろの山賀雅仁(千葉87期)選手の牽制もあり、伸びきらず2着。山賀選手が山口選手を牽制しながらタテに踏んで優勝を手にしました。
『番手捲りに勝るものなし』
これは競輪の格言のひとつです。ラインの先頭で先行する一人を犠牲にするわけですし、しかも主導権を握ったのは徹底先行の野口選手。山口選手はよく2着まで追い込んだと思いますし、番手が鈴木選手、3番手がタテ脚のある山賀選手ではなかったら、結果も違っていたかもしれません。
しかし、ここで終わったらスターとは言えないでしょう。番手捲りを乗り越えるほど、もっと力をつけてくるのか。自在な立ち回りもできる強みを生かして、何か違う組み立てをしてくるのか。私は今から次のレースを楽しみにしています。負けてなお期待値が高まるというのも不思議な感覚です。

生まれたばかりの星のことを『原始星』というそうです。本当の星であれば輝く恒星となるまでに、とてつも長い年月をかけて成長していくのですが、競輪界の原始星・山口拳矢選手はどんなスピードで、どんな輝きを放つ星となっていくのでしょうか。超一流の世界でたくさんぶつかりあって、スター選手へと上り詰めてほしいです!

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【略歴】

木三原さくら(きみはら・さくら)

1989年3月28日生 岐阜県出身

2013年夏に松戸競輪場で
ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー
以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に
競輪を自腹購入しながら学んでいく
番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり
好きな選手のタイプは徹底先行
好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション
“おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている

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