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2022/11/14

岩井範一

高木真備さんの名輪会入り

高木真備さんの名輪会入り

「名輪会」をご存知だろうか? 1995年に発足した、競輪選手としてタイトルを獲った選手が集まった組織である。入会の基準は、原則としてG1、GPを通算で3回以上獲った選手から成り立つ。しかし、3回以上のタイトルを獲っていなくても、名を連ねている元選手もいる。

その名輪会に、今年引退したガールズケイリンの高木真備さんが入会したとの報道がなされた。スポーツ紙やネットを見て、驚いた。彼女が業界に残した業績は認めるが、ガールズグランプリを優勝したことが、入会の基準になっているとは知らなかった。マスコミの友人にも聞いたのだが、実はこの基準を知らなかったらしい。一体、いつからガールズケイリンの入会基準が設けられたのか? 筆者の勉強不足と言えばそれまでだが、記憶によれば、入会基準を報道をしたメディアはなかったのではないだろうか?

発足したのは1995年だが、明らかに日本プロ野球の「名球会」をならったことは、ファンも分かっていた。名球会にはキチッとした入会基準が設けられている。投手なら200勝、または250セーブ。これは国内だけではなく、メジャーリーグでの実績も加算される。打者は2000本安打である。ほとんどのプロ野球選手は、200勝、250セーブ、2000本安打がモチベーションになっている。メディアも「残り何勝」「残り何安打」といったように、記録達成が近づくと連日、報道がなされる。セ・リーグで2連覇を達成したヤクルトスワローズの石川雅規は、あと17勝。読売ジャイアンツの中島宏之は、あと77安打だ。この他にも、来シーズン中に達成するであろう選手は数人いる。もちろん、記録を達成した選手全てが入会しているとは限らないが、それでもステータスになっていることは事実だろう。

競輪の場合はどうだろうか。まず、ミスター競輪の中野浩一氏は現メンバーに入っていない。吉岡稔真氏、山田裕仁氏、山口幸二氏もだ。最近入会した中では、鈴木誠氏や後閑信一氏が目新しいところ。入会するのも、入会しないのも、個人の自由ではある。しかし、筆者が考えるに、たとえばG1を5回優勝した選手が、本来の入会基準を満たさない選手と同じ扱いになるのは、違和感がないだろうか。

そして、何より会員の高齢化が激しいことだ。筆者でも現役時代をそこまで知らないメンバーもいる。筆者だけでなく、新しいファンならなおさらだろう。テレビで良く見る顔が入会していないのも不思議に感じる。高木さん以外のガールズケイリン選手では、小林莉子、中村由香里、梶田舞、小林優香、石井寛子、児玉碧衣が入会条件を満たしているが、この中で複数回のガールズグランプリ優勝は梶田と児玉だけだ。基準をキッチリとして、業界全体のステータスをあげてほしい。

Text/Norikazu Iwai

Photo/Perfecta navi編集部

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