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2023/05/06

岩井範一

激しさを増すガールズ戦線

激しさを増すガールズ戦線

現在、平塚競輪場では日本一を決める「第77回日本選手権競輪(G1)」が開催されている。原稿の締め切りの都合で、今回は結果を書けない。この時点で、新田祐大、松浦悠士らの優勝候補が二次予選で脱落しているが、その他は準決勝まで順当。残念なのは、平原康多の欠場だった。

日本選手権競輪の3日目(5月4日)に行われた「ガールズケイリンコレクション2023平塚ステージ」は、久米詩(静岡116期)が終始、冷静なレース運びを見せ、最終バック前3番手から、捲りで初優勝を飾った。ガールズコレクション4回目の挑戦で見事、頂点に立ったわけだ。2着は柳原真緒、3着は小林優香だった。

久米の父は元S級で活躍した康徳氏(70期、引退)。全盛時は村上義弘氏らと共に、京都を引っ張っていった選手だった。派手ではなかったが、堅実な走りで車券では儲けさせてもらったものだ。康徳氏はまだまだS級で活躍できたが、2016年に引退した。当時は、なぜ?と不思議に思っていたのだが、引退後は日本競輪学校(現日本競輪選手養成所)の教官に就任。実績があり、生徒からの評判もすこぶる良いと聞いたことがある。詩は卒業後、京都に戻らず、父のいる静岡で選手生活をスタートさせた。身近に父親がいることで、安心して競輪に専念できたのであろう。これに満足せず、さらに上を目指してもらいたい。

ガールズケイリンコレクション2023平塚ステージゴール前
ガールズケイリンコレクション2023平塚ステージのゴール。3番車の久米詩が捲りでビッグ初制覇

2着の柳原は本調子ではなかったみたいだが、それでも最後は鋭く伸びてきたあたりは、さすがだった。この悔しさを次に繋げてもらいたい。残念だったのは小林だ。展開的には凄く良かったようにも思えたのだが、仕掛けた時のスピードは、筆者が思っていたものとは、ほど遠かった。小林から車券を買っていただけに、レースを見ていて、「もらった」と内心、浮かれていた。小林が中団なら楽に捲れるはずだと思っていたからだ。それなのに前の久米に合わされ、越えることができなかった。正直、信じられなかった。力が落ちてきているのか、それとも本調子でなかったのか。石井寛子も、もったいないことをした。絶好の2番手を回りながら、生かすことができずに終わった。本人が一番、悔しい思いをしたことだろう。

今回のガールズコレクションには、ツートップの児玉碧衣と佐藤水菜は不参加だった。この2人の力は抜きんでているが、新たに久米も加わり、ガールズ戦線はさらに激しさを増すだろう。ガールズケイリンは、今年からG1競走が3つ新設された。6月の「パールカップ」、10月の「オールガールズクラシック」、11月の「競輪祭女子王座決定戦」である。ガールズコレクションとは重みが違ってくる。男子選手と同じように、タイトルホルダーの称号がつく。久米が勢いのまま、初代G1女王の座につくのか、ますます楽しみになってきた。

Text/Norikazu Iwai

Photo/Perfecta navi編集部

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