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2023/05/26

岩井範一

全プロ記念と競技大会

全プロ記念と競技大会

「全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪」。やたらと長いが、略して「全プロ記念」と言われている。その大会が5月27日、28日の2日間、富山競輪場で開催される。
脇本雄太をはじめトップ選手が集結するのだが、なぜか格付はF2。これまた競輪界の訳が分からないところでもある。そして、勝ち上がりも摩訶不思議である。初日は優秀競走が3個レースあり、それぞれの1着から3着が翌日の「スーパープロピストレーサー賞(SPR賞)」に進出する。初日は優秀以外に、特選が3個レース、選抜が6個レースあり、最終日はダイナミックステージ(3個レース)と、特選(3個レース)、選抜(3個レース)に分かれる。要するに、一番強い選手を決める大会ではないということだ。

そして、今回は29日に「全日本プロ選手権自転車競技大会」が行われる。こちらは純粋な競技大会で、車券は販売されない。種目はスプリント、ケイリン、1キロメートルタイムトライアル、4キロメートル個人パシュート、エリミネーション、チームスプリント、4キロメートルチームパーシュート。ここで上位に入ると、寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(G1)のシード権を得られる種目もある。全プロ記念については、聞いた話しではあるが、元々は「せっっかく競技大会に一流選手が来るのだから、車券を売らない手はない」が始まりらしい。

全プロ記念は各メディアが大きく扱い、まるでG1、G2並と言える。ただ、穿った見方をすれば、選手がどこまで本気で走るのかは、未知数だ。2週間後にはG1高松宮記念杯競輪もある。タイトルでもないF2戦。もし、ケガでもすれば、目標であるタイトル戦に出場できなくなるかもしれないリスクもあろう。

個人的には、競技大会をもっと大きく取り上げてもらいたいと考える。脇本雄太、新田祐大らのおかげで、競技に対する見方もだいぶ変わってきているだろう。五輪の時だけではなく、この大会は紛れもなく、日本一を決める大会である。ここぞとばかりに競技の面白さをアピールできる絶好の場であるはずだ。しかしながら、日本のメディア、特にスポーツ紙は、あまり興味がないところもあるのかもしれない。記憶によれば、協賛になっている新聞社だけが大きく扱っていたような気がする。本当に五輪でメダルを狙うなら、選手ではなく関係者のサポートも必要だろう。
相当、昔の話になるが、知人と競技大会を見に行ったことがある。ただ、観衆という点では、スタンドはガラガラだった。選手の家族や知人がほとんどで、車券を売らない競走には、競輪ファンは興味がないのかと思った。メディア戦略も、地味である。全プロ記念と競技大会では主催が違うらしいが、競技大会にも、もっと人を呼ぼうとしてほしいと感じているのは筆者だけであろうか? 競輪ファンにも、セレモニーでやっている大会だと感じ取られてしまう。
何度も書いてきたことだが、この業界には団体が多すぎる。だから意思が統一できず、他の公営競技に遅れを取ってしまうのだろう。自転車競技の素晴らしさと楽しさを一般の人に知らしめる絶好の場なのだから、もっと盛り上がってもらいたい。

Text/Norikazu Iwai

Photo/Perfecta navi編集部

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