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2023/12/02

木三原さくら

恋して競輪ハンター

恋して競輪ハンター

木三原さくら「恋して競輪ハンター」146 Hunting

あっという間に、2023年が終わろうとしています。まだ、1カ月あるのは、重々承知していますが、競輪界にいると、11月末がひとつの区切りと感じてしまいますね。
その節目のG1、『第65回朝日新聞社杯競輪祭』が終わりました。優勝したのは、眞杉匠選手。今年2つ目のG1タイトルを、単騎で勝ち取りました。

今年もやっぱり涙無くしては見れず、今もこれを書きながら鼻をすすっています。
私の琴線に触れたのは、まず準決勝の郡司浩平選手。先行した松井宏佑選手の番手で、何度も別線を止める走り、しびれました。私はもちろん(と、あえて言いますが)、郡司選手の抜け出しから車券を買っていました。それでも、あのレースを見せられたら、何も文句はありません。それどころか、カッコよすぎます、好きです。と、こみ上げる感動を伝えたい勢いでした。
自身も、KEIRINグランプリ出場へ、決勝進出が絶対条件の中で、まずラインの番手としての走りを見せたこと。かつては、ビッグレースで南関東ひとり孤軍奮闘し、そこから松井選手や深谷選手の番手から勝ち取ったG1タイトルがあり、そうやって南関東を引っ張ってきた郡司選手だからこその走りだと思いました。このレースを見せられた後だからこそ、一緒に勝ち上がってほしかったという想いは、より一層、強くなりましたが、その悔しさと郡司選手のたまらないカッコよさに涙が溢れました。

郡司浩平

そして、2つ目は決勝戦の松井宏佑選手。手が届きかけた、G1初タイトル。この2着が、どれほどの悔しさなのかと想像するだけで、いまだに泣けてきます。
決勝戦は、深谷選手の番手を、松井選手から志願したと取材記事がでました。それを読んで「松井くん、これは獲らなきゃだめだぞ」と、私は心で松井選手に言いました。東京の自宅から一人、北九州に向かって念じました。どの立場やねん!と、ツッコミを入れたくなった人もいると思いますが、ファンの熱すぎる想いって、ちょっと上からになっちゃうこと、ありますよね。ご理解ください。
準決勝での郡司選手の想いあふれる走り。そして、先輩である深谷選手が前回り。ラインで繋いだG1タイトル、舞台は整った。そう、思っていました。
でも、神様は残酷です。最終バックで、深谷選手の番手から出た松井選手。その横に並びかけた、単騎の眞杉選手。ゴール前のデッドヒートから、交わされた絶望。胸がえぐられる思いでした。

松井宏佑

私がレース後、Xにまずポストしたのは20時46分。その後、眞杉選手の優勝を称えるポストができたのが、21時06分。たくさんの感情を打っては消しを繰り返しながら、悲しみと感動と興奮の整理をしました。この日もまた、東京の自宅で一人、北九州に向かって想いました。

優勝した眞杉選手は、今年初G1制覇からの2つ目のタイトル。すでに貫禄すら感じる強さ、本当に素晴らしかったです。そして表彰式での爽やかな笑顔も素敵でした。
勝者は笑い、敗者は泣く__。
その、どうしようもない正しさと残酷な美しさ。
競輪って、やっぱり面白いですね。こんなに感情をグチャグチャにされながらも、それがたまらなく魅力だと感じてしまいます。

今回、悔し涙を流した松井選手ですが、絶対に、この悔しさをバネに、進化してくれると信じています。来年は地元の平塚競輪で、オールスター競輪が開催されます。2024年は、私たちに最高の笑顔を届けてくれると期待しています!
がっさい松井選手!

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【恋して競輪ハンター・過去コラム】
145Hunting「並びの思惑」
144Hunting「都築巧選手の完全優勝」
143Hunting「私たちのオールガールズクラシック」
142Hunting「オールガールズクラシックG1を終えて」
141Hunting「本命選手にかかるプレッシャー」
140Hunting「競輪は初手」
139Hunting「追いかける優勝車券」
138Hunting「S級ミッドナイト」
137Hunting「何でもできる強さ」
136Hunting「J.Y&K.W」

【略歴】

木三原さくら(きみはら・さくら)

1989年3月28日生 岐阜県出身

2013年夏に松戸競輪場で
ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー。
以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に競輪を自腹購入しながら学んでいく。
番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり。
好きな選手のタイプは徹底先行!
好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション。
“おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている。

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