明暗が分かれた昨年のS級S班
今年初のG1「第39回読売新聞社杯全日本選抜競輪」は、郡司浩平の優勝で終わった。郡司はS級S班から陥落したが、最初のビッグレースで一発回答、S級S班への復帰を決めた。1月には川崎記念も制しており、誰もが郡司は「隠れS級S班」だと思っている。まさに、その通りの結果になった。
決勝に勝ち上がったのは、郡司の他に、神奈川勢から北井佑季、松谷秀幸。古性優作に南修二の大阪勢。そして、新山響平、浅井康太、清水裕友、山田英明。
この中で、抜群の動きを見せていたのが北井だった。特に準決勝では、脇本雄太を相手に先行態勢に入り、冷静に状況を見極め、脇本後位に入るという器用な一面も見せた。脇本相手に臆することなく、真っ向から挑んだ結果が、初のG1決勝へと繋がったのだろう。北井の次に良く見えたのが、清水と郡司。共にバランス型の選手と言えるだろう。古性に関しては、勝ち上がったものの、本調子ではないと感じていた。新山は尻上がりに調子を上げてきた印象だ。
レースは予想通り、神奈川勢が先制を決め、4番手に清水、6番手に古性で周回。新山が8番手からカマすと、連携した浅井は離れ、準決勝と同様に、北井が新山の番手に収まる。3角から北井が捲ると同時に、神奈川勢の後ろにいた清水も仕掛ける。清水のスピードが良く、優勝かと思われたが、郡司が絶妙の踏み出しで、清水を抑えた。両者の争いは、最後まで見応え十分であった。それと、北井を褒めたい。ただ郡司を勝たせるような競走ではなく、自らも狙いにいった内容は、今後に期待を抱かせた。
郡司のレースは、安心して見ていられる。自力であっても、2番手を回ろうとも、レースに対する向き合い方は同じだ。バランス型と言ったのは、そういった意味合いでもある。古性は、位置取りが彼らしくなかったように感じた。清水の動きを見すぎた感じがした。
盛況の開催だったが、残念なことも起こってしまった。最終日の第8レース。新田祐大が、誘導員早期追い抜きで失格を喫した。三谷竜生を警戒しすぎるあまりのことではあったが、失格は失格。このルールには賛否もあろうが、決められたルールの中で走っている以上、言い訳はできない。残念という言葉以外、見つからない。報道によれば、最低でも3カ月の斡旋停止らしい。明暗を分けた、昨年のS級S班のふたり。郡司は年末のKEIRINグランプリに向け、今後は、いかに仲間を増やすかを考えてくるだろう。古性も今後、最高のパフォーマンスを見せてくれることだろう。清水にも、今年はタイトルを獲れる予感がある。新田は後半戦に、それこそ選手生命をかけて戻って来て欲しい。
売り上げは、筆者も驚く103億5990万6600円と、100億の大台を超えた。目標が95億円だと聞いたが、岐阜競輪の関係者は笑いが止まらないだろう。この流れのまま、盛り上がっていってもらいたいものだ。
Text/Norikazu Iwai
Photo/Perfecta navi編集部
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