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2024/01/12

岩井範一

盛況だったグランプリシリーズ

盛況だったグランプリシリーズ

「KEIRINグランプリ2023」は松浦悠士(広島)が、俊敏なレース運びを見せ、5度目の挑戦で、初優勝を飾ると共に、初の賞金王に輝いた。2023年の松浦は、G1には縁がなかったが、G2サマーナイトフェスティバルを制するなど、年間を通して安定した結果を残していた。唯一のピンチは、8月オールスター競輪で落車し、大ケガを負ったこと。それでも、同じく落車した脇本雄太より早く、戦線に復帰した。

今回のグランプリを振り返ると、筆者の予想通り、脇本が先行。ただし、出切るまでに新山響平の抵抗に遭い、相当に力をロスしたように見受けられた。3番手に入った新山だが、余力は残っていなかったように思えた。個人的には、佐藤慎太郎が切り替えると思っていたのだが、このあたりが難しいところであろう。中団の深谷知広が捲ると同時に、清水裕友も仕掛ける。ただ、合ってしまった清水は、一瞬、深谷の後位に入り、そこから巻き返すように態勢を整えたかに見えた。だが、清水の後ろにいた松浦が、すかさず切り替えると、最後は突き抜けた。松浦の判断を褒めるべきであろうが、清水の心中を察すると、もう少し待てたのかもとは思う。ただ、KEIRINグランプリは最高峰の大会である以上、勝ちにこだわった松浦の選択が、プロとして正解なのかもしれない。
惜しかったのは、深谷だろう。昨年後半からの充実ぶりは、参加選手のなかで一番だったと感じている。今回は絶好のチャンスだっただけに、悔しかったに違いない。

KEIRINグランプリ2023ゴール前

一方、ガールズグランプリは、ナショナルチームの佐藤水菜の圧勝だった。無風の3番手を回れるのだから、児玉碧衣、久米詩らライバルたちは、いったい何をしたかったのだろうかという思いが残った。佐藤は今年、パリ五輪を控えているため、五輪が終わるまで、国内のガールズケイリンに参加しないのは、少し残念である。その分、児玉らの奮起を促したい。

佐藤水菜

グランプリ2023シリーズの売り上げは、目標の135億円を上回る、140億9563万4200円と大成功だった。筆者は現地には赴けなかったが、友人が言うには、「久しぶりに立川が満員だった。昔の競輪を思い出した。本当に盛り上がっていたよ」とのことだった。コロナの制限がなくなっての開催。ファンも遠慮しないで声援を送れたことに、満足していることだろう。

KEIRINグランプリ2023当日の立川競輪

さて、今年のKEIRINグランプリ2024は、静岡開催である。すっかりグランプリのイメージが定着した静岡だが、果たして、誰が出場権を得て、名乗りを挙げるのかが楽しみである。S級S班から陥落した郡司浩平、平原康多、新田祐大、守澤太志の逆襲があるのか? 犬伏湧也や、ヤンググランプリを圧倒的な強さで制した太田海也らが、世代交代を掲げるのか? 太田は五輪出場を目指しているし、そこでのメダル獲得も視野に入っていると聞く。五輪イヤーだからこそ、また、普段の競輪も面白いのかも知れない。

Text/Norikazu Iwai

Photo/Perfecta navi編集部

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