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2023/10/18

岩井範一

寛仁親王牌の注目選手

寛仁親王牌の注目選手

熊本競輪開設73周年記念「火の国杯争奪戦」in久留米(G3)は、中本匠栄がG3初制覇を決めた。驚いたことに、中本は記念を勝っていなかった。驚いたというのは、2020年にはG2共同通信社杯を勝っているからだ。その後は、目立った成績を残せてはいなかったが、九州の中堅として、若手をまとめていた印象がある。
2016年の熊本地震で、シンボルである熊本城が大きな被害を受けた。競輪場も壊滅的な打撃を受け、以降は開催できていない。その間は、久留米で代替の記念開催を行っていた。今回の決勝は、熊本勢が4人。松岡辰泰が先頭で嘉永泰斗、中本、4番手に塚本大樹の布陣。対するは新山響平、郡司浩平のS級S班だ。中本がスタートを決めた時点で、新山は厳しくなったようなもの。必死に反撃に転じるが、松岡に突っ張られて後退。嘉永が勝負どころで捲り、優勝かと思った瞬間、中本が伸びて1着。久留米での代替開催としては最後の熊本記念を制した。表彰式では、思わず涙があふれ出ていた中本。苦しかった時間、そして久留米への感謝の涙であったろう。売り上げは目標を上回る53億1668万5400円と大成功だった。九州の持つ、競輪に対する熱意が伝わった結果だろう。11月の競輪祭(G1)に弾みがついたのではないだろうか?

中本匠栄
中本匠栄選手

中本、嘉永も出場するG1「寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメント」が弥彦競輪場で19日から始まる。中本、嘉永も、勢いそのままに、健闘を祈りたい。残念なのは、脇本雄太の欠場だ。ガールズケイリンのG1「オールガールズクラシック」の時は、トークショーに登場していただけに、出場するのではと思っていた。
さて、今開催の筆者の推しは、新田祐大と新山響平、郡司浩平の3人。この中から、優勝者が出るのではないかと思っている。古性優作、松浦悠士はひと息だと感じている。気になるのは、平原康多だ。これは筆者だけでなく、ファンもまた感じているところだろう。眞杉匠をはじめ、関東には生きのいい若手先行型が育ってきている。平原にとっては、十分チャンスがあるはずだ。度重なる落車が、平原の体のバランスを崩している。正直なところ100%での出場は無理だろう。どこまで戦えるか、ここでいう「戦える」は決勝で勝負できるかだ。

平原康多
平原康多選手

弥彦競輪場は日本で唯一の村営競輪場として知られている。ビックリするのは、競輪場が彌彦神社の敷地内にあるということだ。このミスマッチ感がまた、たまらない。バンクで歓声をあげている隣では、参拝客が祈っている。筆者も仕事の予定がつけば、久しぶりに本場に足を運んでみたいと考えている。

Text/Norikazu Iwai

Photo/Perfecta navi編集部

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