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2023/08/24

岩井範一

オールスター競輪を振り返って

オールスター競輪を振り返って

「第66回オールスター競輪(G1)」は、真杉匠(栃木)の初優勝で幕を閉じた。吉田拓矢(茨城)がそれこそ引き出し役に徹し、3番手を地元の平原康多、4番手を武藤龍生が固めた、関東勢の絆の強さを見せつけられた感じだ。真杉は弱冠24歳。今までは関東の先頭でレースを作り、追い込み型に何度も優勝をプレゼントしていた。言葉は悪いかもしれないが、やることをやってきたからこそ、今回は自分の番になったのだと思う。

気になったのが吉田拓矢だろう。決勝は打鐘前から発進。真杉がゴールしてから、5秒以上たってゴール。これが「暴走」となり失格になった。この制度になったのは、2019年からだと記憶している。関東の作戦に文句は言わないが、吉田はタイトルホルダーであることを忘れてはならないと思う。予想するファンは、もちろん2段駆けを分かっている。ただ、吉田がどこまで持つのかを考えるものだ。吉田の力からすれば、せめて最終4コーナーまでは持つと思うわけである。そうなると真杉から買える。逆に吉田がバック前とかに垂れれば、3番手の平原から買うことができる。あれだけ早く踏んで、それでいて失格は可哀想だという意見もある。だが、やはりルールの上で戦っている以上は、それを遵守しなければならない。吉田の競走スタイルは好きだし、しばらくレースから遠ざかることになるらしいので、寂しく思う。

児玉碧衣
ガールズドリームレースを制した児玉碧衣選手

オールスター競輪の3日目に行われたガールドリームレースは、児玉碧衣(福岡)が、ナショナルチームの佐藤水菜(神奈川)、太田りゆ(埼玉)を破って優勝した。女王の児玉にしても、ナショナル勢を打ちのめしての優勝は価値がある。「パールカップ(G1)」の時は、ナショナル勢がいなかった。だからこそ、この勝利は価値がある。改めて児玉の強さを感じた。逆に残念だったのが、小林優香だ。直前の手術の影響らしいが、正直なところ、レースになっていなかった。ファンもガッカリしただろうが、筆者はそれをも越えて、悲しくなってしまった。

さて、今回の売り上げは目標の130億円を上回る132億1360万9100円だった。今年のビッグレースで目標額をクリアしたのは、7月のサマーナイトフェスティバル(G2)に続いてだ。健闘したといっていいが、それでもわずか2億円超えただけ。関係者は喜ぶだけでなく、気を引き締め直してもらいたいものだ。最後になるが「シャインニングスター賞」で落車した脇本雄太と松浦悠士は肩甲骨骨折などで長期離脱が予想される。競輪界を背負ってきた二人だけに、しっかり完治させて戻ってきてもらいたい。

Text/Norikazu Iwai

Photo/Perfecta navi編集部

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