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2024/04/09

岩井範一

郡司浩平と北井佑季

郡司浩平と北井佑季

嵐の前の静けさ、とでも言うのだろうか。G2ウィナーズカップが終わって、日本選手権競輪までの間は、小休止といった具合だろう。そこで今回は、郡司浩平と北井佑季について思うことを書こう。

昨年は不本意な結果に終わり、S級S班の座を譲った郡司。年末にはしっかり休養を取り、英気を養った。その結果が、今年初のG1全日本選抜競輪で表れた。全日本選抜の前、今年の始動戦は岸和田F1。いとも簡単に3連勝。続く川崎記念G3も優勝。次の静岡記念G3は深谷知広の地元ということもあり、決勝は9着。そして、全日本選抜を勝って3月の平塚F1も完全V。ここまで4開催中3Vという成績を残してきた。
5連覇がかかった川崎記念G3。下馬評は、圧倒的に郡司だった。相性もそうだが、勢いを見れば、多くのファンが優勝だと思っていたに違いない。初日特選こそ北井の捲りを差せず2着も、2次予選、準決勝は圧勝。決勝は北井が脱落して、自力の競走になったが、細切れ戦は郡司の得意とするところ。だが、筆者の目には中途半端に映った競走で9着。打鐘で前に出たが、そこで迷いがあったように思えた。新山響平を出すのか、出させないのか。その結果、松本貴治と並走する形になり、嘉永泰斗に捲られた。

郡司浩平

だが、郡司を責めることはできないだろう。筆者が思うに、郡司は完成された競輪選手だ。数年前まではタイトルを獲っても、そうは思わなかったのだが、レース以外にインタビューを見ていても、所作が違ってきた。スマートなのだが、力強さがある。結論を言えば、バランス感覚が素晴らしいということだ。同じタイプに松浦悠士もいるが、郡司はあくまでも自力選手であるのに対し、松浦の基本は自在・追い込みだと思っている。自力選手としてのバランス感覚という点では、郡司が他の選手よりも、一歩、二歩、先を行っているように感じる。今回の川崎記念G3は残念な結果になってしまったが、これで評価が下がることはない。今年中に、あと二つくらいはG1を勝てるのではないかと確信する。

川崎記念G3では、郡司とともに、北井の評価も高く、期待していた。がむしゃらに突っ走る先行スタイルは、ファンを魅了する。逃げるだけなら簡単だが、北井は、ちゃんと勝負できている。決勝には勝ち上がれなかったが、タイトルは目前と言えるだろう。

ただ、筆者には不安がある。これだけ毎回、激しいレースをしているのだから、疲労は相当にあるはずである。追い込み選手ならいざ知らず、徹底先行だけに、目に見えない疲れは必ずある。聞くところによれば、師匠の高木隆弘の下、想像を絶するトレーニングを敢行しているという。それでもオフシーズンがない業界においては、あれだけの走りが続けられるか心配でならない。正直なところ、少し休んで日本選手権競輪を迎えて欲しい。最高峰のG1を万全の状態で迎えられるか、そこだけが気になる。生真面目な性格だと聞くが、最高の舞台で最高のパフォーマンスを演じるためには、休養も必要だろう。

Text/Norikazu Iwai

Photo/Perfecta navi編集部

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