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2024/05/24

岩井範一

ルーキーシリーズの矛盾

ルーキーシリーズの矛盾

各競輪場で125、126回生による「ルーキーシリーズ2024シリーズ」が行われている。3月に日本競輪養成所を卒業して約2カ月。どれだけ成長しているかが問われるシリーズになっている。

実際、ここまで富山と平塚で行われた。締め切りの都合上、2開催だけの話になる。正直なところ、このルーキーシリーズにどのような意味があるのかが理解できない。競走を見てみると、養成所時代の延長で、プロらしさを感じられないことが多いのは筆者だけだろうか? 養成所時代の成績を元に車券は買うが、あくまでも養成所時代のことであるため、信用できないでいる。ただし、在所成績1位~3位くらいは、今回に限っていえば、信用できると思っている。

あまり買う気にならない理由の一番は、コメントだ。99%が自力と言うが、これはファンをないがしろにしているとしか思えないのだ。実際、自力と言いながらマーク専門の選手もいる。たまにではあるが、先行選手の番手を主張するコメントも見受けられる。こうやってはっきり、誰々の後ろと言ってくれれば、もう少し、車券が買いやすくなる。
一例を挙げれば、11日の平塚競輪・第12レースがそうだった。断トツ人気の森田一郎の後ろを、川上隆義が主張し、ワンツーを決めた。2車単は180円ながら、3連単は540円。仮に、川上が森田の後ろというコメントを残さなければ、配当はもう少し良かったかもしれないが、買う方としては迷ってしまっただろう。買いやすく、当たりやすくするために7車立てを実施しているなら、ルーキーたちにも、コメントの仕方をしっかり養成所から教えておくべきであろう。

森田は3連勝で優勝を飾ったわけだが、腑に落ちないのが、この優勝が生涯成績にカウントされるということだ。ましてや、以前にも書いたが、デビューにもかかわらず、ルーキーシリーズを終えたら、「本デビュー」なる言葉がメディアに踊る。本デビューとは何か? デビューはデビューであり、一般常識からすればズレている業界の慣例であろう。メディアも「本デビュー」という言葉を使うが、いかがなものかと思える。

話を森田に戻すが、新人らしからぬ勝ちを意識するレーサーだと感じた。聞くところによれば、ナショナルチームの下部に在籍し、28年のロス五輪を目指しているとのこと。今後の飛躍に期待したい。ガールズも初戦の富山決勝で4着に終わった仲澤春香が、2戦目の平塚で見事、完全優勝を成し遂げた。ネットを通しての感想だが、仲澤はすぐにでもトップレベルで戦える力を持っていると感じた。

養成所の延長のようなレースであるなら、やめにした方がいい。技術不足から落車、失格もあり、それだけでファンは離れていくかもしれない。当たりやすさを求めている割には、ルーキーシリーズだけはそれがなく、矛盾している。

Text/Norikazu Iwai

Photo/Perfecta navi編集部

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