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2023/11/30

P-Navi編集部

ジャパンカップサイクルロードレース

ジャパンカップサイクルロードレース

宇都宮市森林公園の特設コースで10月15日、アジア最高峰のワンデイレースであるジャパンカップサイクルロードレースが開催された。ジャパンカップは、UCI(世界自転車競技連合)プロシリーズのレースとされている。ツール・ド・フランスなどが分類される最高峰の
ワールドシリーズに次ぐレベルの高い大会だ。

※前日のジャパンカップクリテリウムのレポートはこちら

世界のトップスターたちが来日し、本気の参戦をすることで注目を集め、例年、多くの観客を集めて開催している。今年はあいにくの雨に見舞われ、気温も低く、集客が危ぶまれたが、早朝から、続々とファンが会場に現れ、宇都宮駅へのシャトルバスは始発からにぎわったという。
コースは標高差185mの10.3kmの周回を使用する。今年は記念大会ということで、2周伸ばし、16周164.8kmの設定となっていた。



古賀志林道の登りが特徴的なコース。標高差は185m(大会公式サイトより)

コースはメイン会場となる森林公園からスタートすると、すぐに上り基調となる。緩やかな上りの赤川ダムを抜けると、ジャパンカップを象徴する古賀志林道のつづら折りに差し掛かる。坂を駆け上がる選手の息遣いが聞こえるほど近くで観戦できるため、多くの観客が沿道を埋め、路面には応援コメントをチョークでペイントするのも、大会の名物だ。この上りの頂上が山岳賞ポイント。ここから県道を抜け、最後はまた上ってフィニッシュとなる。

ジャパンカップサイクルロードレースに集まった観衆
古賀志林道頂上のKOM(山岳賞)ポイントには、多くの観客が集まり、熱い声援を送った photo by Kei Tsuji

クライマーにとっては、違いを見せつけられるほどの厳しい上りはなく、平坦区間も短くないため、パンチ力のある総合力にすぐれた選手に向いているコース。例年、このコースで厳しいサバイバルレースが展開される。

スタートが近づくと、続々と選手が集まってくる。雨はそれほど強くない。だが、悪天候によるコンディションを踏まえ、コミッセールから3周減周の判断が下された。結果的に、例年より短い、13周133.9kmで競われることになった。
スタートライン最前列に並んでいた国内チームを塗り替えるかのように、来日したワールドツアーチームがその前に列を作って並び、スタートの時を待った。示した「やる気」に緊張感が走る。佐藤市長の号砲で、いっせいにスタート。

ジャパンカップサイクルロードレースのスタート
雨の中、スタート。一気にペースがあがっていく photo by Kei Tsuji

例年は、国内チームを含む逃げ集団が形成され、山岳賞を獲得し、終盤にワールドツアーチームがペースアップ、きびしいふるい落とし合戦の後に精鋭たちのゴール決戦、という展開が定番だった。
だが、今年は違った。1周目から、いっせいにワールドチームが仕掛け始めたのだ。ハイペースに集団は長く伸び、容赦なく次々と攻撃が仕掛けられる。

ジャパンカップサイクルロードレースの序盤戦はペースが上がる
ペースが上がり、長く引き伸ばされる集団 photo by Kei Tsuji

2周目。レースは、前日に引き続き、完全に想定外の展開へ向かっていった。今年来日したスター中のスター、ジュリアン・アラフィリップ(スーダル・クイックステップ)が、自らアタック。ハンドルを軽く左右に振りながら、古賀志林道を軽やかに駆け上がるアラフィリップの姿を間近に見た観客は大熱狂だった。

ジュリアン・アラフィリップ(スーダル・クイックステップ)
単独で先行し始めたジュリアン・アラフィリップ(スーダル・クイックステップ)。行く先々にうねりのような熱狂的な声援が沸き起こる photo by Yuichiro Hosoda

激しい水しぶきのジャパンカップサイクルロードレース
激しい雨の中、水しぶきを上げて進んでいく集団 photo by Satoru Kato

ここに、前日のクリテリウムでも存在感を見せたパスカル・イーンクホールンとマキシム・ファン・ヒルス(以上 ロット・デスティニー)、アクセル・ザングル(コフィディス)が合流し、先頭集団を形成した。

ジャパンカップサイクルロードレースの20名ほどの集団形成
先頭を追う追走集団 photo by Kei Tsuji

集団はこの時点で大きく絞り込まれ、すでに追走可能な状態で走るのは20名あまりになっていた。

岡本隼
展開に加わることのできる選手たちがシビアに絞り込まれて行った。日本人からは唯一岡本隼(愛三工業レーシングチーム)が食らいついた(左端)photo by Kei Tsuji

山岳賞がかかる3周目、アラフィリップは単独で抜け出し、大声援の中、1周目の山岳賞を獲得。そのまま単独で先行を続けた。
アラフィリップを追う集団には、昨年2位、今年のツール・ド・フランスで山岳賞を獲得しているアンドレア・ピッコロ(EFエデュケーション・イージーポスト)、日本好きで知られ、高いモチベーションで臨むギヨーム・マルタン(コフィディス)、研修生ながら直前のビッグレース「パリトゥール」を制したミラクルボーイ、ライリー・シーハン(イスラエル・プレミアテック)、過去に2度大会を制したバウケ・モレマ(リドル・トレック)、世界選手権王者で、今年後半に調子を上げているルイ・コスタ(アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)など、優勝候補はきっちりと名を連ねていた。この中には、唯一国内チームから岡本隼(愛三工業レーシング)が加わっていた。この時点で、この後ろの集団とタイム差が縮まると予想する要素はない状態となったと言えよう。

古賀志林道
古賀志林道を駆け抜ける photo by Kei Tsuji

ここに一人も送り込めなかったバーレーン・ヴィクトリアスは、新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)が率いる追走集団を作り、ヘルマン・ペルンスタイナー(バーレーン・ヴィクトリアス)らを連れて、先頭を目指し、合流を果たした。
アラフィリップは2回目の山岳賞も獲得し、走行を続けたが、8周目後半についに追走集団に吸収された。
3度目の山岳賞はジェームス・ノックス(スーダル・クイックステップ)が獲得。これで、クイックステップが3回山岳賞を獲得したことになった。

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