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2017/10/27

Yasuhiko Amano

天野記者の『オートレースNOW』Vol.1

天野記者の『オートレースNOW』Vol.1

開幕前には想像もできなかった結末が待っていた。浜松オートレース場にて10月18日~22日に行われたG2ウィナーズカップは波乱続出の展開になった。優勝したのは伏兵とも呼ぶべき淺田真吾(浜松27期)。優勝戦のメンバーにV候補と見られていた鈴木圭一郎(浜松32期)、高橋貢(群馬22期)、金子大輔(浜松29期)、浦田信輔(飯塚23期)ら銘柄級の名前はなかったのはなぜなのか?それは雨中の戦いが全てに影響したからだと思える。

5日間のシリーズは2日目1~12R、3日目1~7R、4日目1~12R、最終日1~12Rが湿走路で行われたことで、良走路で抜群の走りを見せたマシンに微妙な狂いが生じた。それを象徴するのが2期連続でランク1位の鈴木圭一郎で、良走路だった3日目12Rを圧倒的な強さで快勝。
「シリンダーを換えて、先は最近になくいい」と、レース後の自己評価も高かった。
それが4日目の準決勝で一変してしまう。前日の迫力満点の走りは全く見られず、5着と大敗。調整の難しさがハッキリ表れた格好だ。
同じ湿走路の発表でも走路状態は違うものになる……降雨の中、水分が残っている状況、良走路に近い斑(ぶち)などなど。全てを把握するのはトップレーサーでも困難であることは言うまでもない。

鈴木圭一郎と言えば、7歳からポケバイ(50cc)に乗り、10歳で整備を始めた“バイクの申し子”である。それでも、この大会では1レース毎に状態が変わる走路に対応できなかったのだ。
「一体、どうすればいいのか?」
このような条件下で、正確な答えを導き出せた選手は数少なかった。絶対王者・高橋貢でさえも近寄りがたい雰囲気を存分に漂わせて整備に取り組んでいたものだ。そう、大半の選手がいつも以上に調整で四苦八苦、それがレース結果につながったとも言えた。

ファンも車券選択で迷いに迷った。その結果、万車券が続出。湿走路の結果を見ると、2日目が6R=181,570円を筆頭に4本、3日目が3本、4日目が9R=670,980円など5本、最終日も5本の万車券。43レースのうち17レースが万車券となり、場内からはどよめき、溜息がレース毎に漏れた。記者も同様に、5日間でプラス収支は1日だけで、財布はかなり薄くなってしまった。
ウィナーズカップは日本選手権の前哨戦としても大きな注目を集めていた。最も歴史の古いSGは11月1日~5日に同じ浜松オートレース場で開催されるからだ。ところが、重要なステップ戦は終始、雨中の戦いとなった。日本選手権が良走路で行われた場合、ヒントは少なくなる。その中でも、やはり動きが目立ったのは鈴木圭一郎だった。3日目の有無を言わさぬ強さは超ハイレベルのマシンを証明する。

業師の浦田信輔も湿走路に泣かされた1人で、良走路なら一変する可能性が高い。
46歳の年齢を全く感じさせない高橋貢もV候補になる。
そして、イチオシの選手がいる。それは別路線から臨む永井大介だ。今年の活躍には目を見張るものがあり、グレード戦の優勝は選手最多の4回。5月の浜松G1ゴールデンレースでは、鈴木圭一郎と死闘を演じた末に優勝。G2川口記念、G1日刊スポーツキューポラ杯、特別G1プレミアムカップを制している。
昨年はなかなか優勝できなかったが、今年は豪快な走りが完全復活。SG制覇が完全に視界に入っている。昨年は船橋支部長として、廃止関連で多忙を極めた。今はレースに専念できる環境。2月の結婚もモチベーションを上げる材料になっている。
ただ、前哨戦がさほど参考にならなかった以上、日本選手権の車券作戦は難しい。予想する立場としては正直、頭の痛いシリーズになる。

Text & Photo/Yasuhiko Amano

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