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2018/01/18

Yasuhiko Amano

天野記者の『オートレースNOW』Vol.6

天野記者の『オートレースNOW』Vol.6

微妙に変化する走路状態が車券検討をとても困難なものにさせた。
2018年のSG第1弾、第31回全日本選抜は1月6~10日、飯塚オート場で行われ、ランク1位の鈴木圭一郎(浜松32期)が圧勝で連覇を達成した。SGは6回目の優勝、昨年末のSS王座決定戦で3着に敗れた悔しさをわずか10日後に晴らした。

ファン同様に選手も走路への対応に頭を悩ませた。
初日は1Rが湿走路、2~12Rが斑(ぶち)走路、2日目は1~12Rが斑走路、3日目は1~12Rが湿走路、4日目は1~12Rが湿走路。迎えた最終日は1~12Rが湿走路で、雪がちらつく中で行われた。同じ斑走路でも、良走路に近い状態があり、湿走路でも雨が降っている、降っていないでは状態が違う。
コースの外を通るか?内を通るか?準々決勝を快勝した永井大介(川口25期)は「降っている走路が良かった。外が利いた」と、振り返ったが、準決勝は4着止まり。同じ湿走路でも車が走路に合わなかった。
準決勝を勝った荒尾聡(飯塚27期)は斑走路に近い湿走路を克服して「乾いているところを知っているので、思い切って突っ込めた。これは地元の利」というように分析した。
様々な思惑が絡み合う中、鈴木は1走ごとに“飯塚の雨”への対策をインプットしていった。パーツを換え、タイヤを交換し、エンジンの音を聞き、練習では雨に合う乗り方を研究した。
「湿走路は乗る機会が少なく、整備もレースも難しい」
開催前にはこう語っていたが、優勝戦は圧勝。シッカリと答えを出した形だ。

ファイナルは一瞬で決着をつけた。抜群のスタートから先頭を奪い、青山周平(伊勢崎31期)、荒尾が抵抗すらできない急速発進だった。
「スタートは自信を持って、青山さんより切ろうと思った」
後続との差を1周ごとに広げていった。1着でゴールした時、2着の荒尾は4コーナーを回ったばかり。80mもの差をつけての独走Vだった。
 「後ろの音が聞こえないので、ぶっちぎりと感じた。スムーズに走れたし、乗りやすかった。インコースを走ったのは予定通り」
何度もガッツポーズをして、喜びを爆発させた。前述したように、斑走路で行われたSS王座決定戦は3着。優勝を逃したことで「雨は苦手」との評価もあった。
「悔しいし、情けなかった」
同期の雨巧者・吉原恭佑(伊勢崎32期)の乗り方を徹底的に研究して、前加重でバランスを取った。
「プレミアムCを勝った吉原君を思い出して乗った」。
湿走路でのSG制覇は初めてで、嬉しさと同時に自信も得た。
「雨でも晴れでも圭一郎、そう呼ばれる選手になりたい」と、優勝戦の選手紹介でファンに誓った言葉を見事に実践した。この優勝で鈴木の“無敵”の快進撃が始まる予感がする。
2着の荒尾は、SS王座決定戦優勝後のSGを「SSを勝った後の地元SGが大事」と、何度も公言して臨み、価値ある銀メダルとなった。
「優勝戦に出場できて、最低限の責任は果たせたと思う。雨で絶対的な強さを見せられるように、今後も前進していきたい」

3着の新井恵匠(伊勢崎30期)には脱帽だった。準決勝でしぶとく2着を確保し、4回目のSG優出。「車がいいので3着に入りたい」という目標を叶えた。2018年のグレード戦では要チェックの選手で、ブレイクの期待がかかる。

優勝戦では新井をノーマークにして車券は外れ。SG最高は2016年グランプリの4着だけに軽視してしまった。走路状態に右往左往したシリーズはトータルでもマイナス。それでも、救いはあった。飯塚オートで原稿出稿後に連日、ナイター開催の若松ボート場へ。同じナイターの丸亀場外と共に勝負して、何とか損失の補填(ほてん)に成功、財布の中身は空っぽにならなかった。
次のビッグは2月8~12日に浜松オート場で行われる第59回スピード王決定戦。次回で見どころ、注目選手をお届けする。

Text/Yasuhiko Amano

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