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2023/09/12

岩井範一

北井佑季の躍進

北井佑季の躍進

向日町競輪開設73周年記念「平安賞」G3は、時代を感じさせる開催になった。
優勝したのは、北井優季(S1・神奈川119期)だった。坂井洋、太田竜馬の自力型を力でねじ伏せ、逃げ切り。レースを見る限り、番手の佐藤慎太郎が楽に抜けると思っていたが、差は縮まらなかった。佐藤も北井の強さに脱帽だったようだ。
時代を感じた理由は、向日町と言えば、村上義弘・博幸兄弟を筆頭に、京都もしくは近畿の牙城だということ。脇本雄太が、オールスター競輪での落車により欠場となったのは痛いが、近畿以外の選手が優勝するのは、一昔前なら考えらられないことだった。せめて2着だったが、今回は村上博幸の3着が最高だった。決勝には、村上の他、山田久徳、川村晃司が勝ち上がっていただけに、この光景はオールドファンにとっては衝撃的だった。

さて、優勝した北井は元Jリーガーだ。Jリーガー=J1でないことを、まず理解していただきたい。Jリーグは、J1~J3まであり、この総称がJリーグである。Jリーグ組では、河野淳吾がJ1のサンフレッチェ広島に所属し、リーグ戦の出場こそないものの、カップ戦には出場しており、Jリーガーという呼び名がふさわしい。この他、筆者の記憶によると、ファジアーノ岡山というクラブでプレーしていた広島の竹内翼も元Jリーガーになる。竹内もデビュー当初は先行で名を売ったが、現在は伸び悩んでいる感は否めない。これは、河野も同じであろう。逆に、北井はこれからが楽しみである。33歳という年齢から、1年、1年が勝負になることは、本人も十分に分かっているだろう。知人によれば「口数は多くなく真面目」だそうだ。昔の先行型のイメージと被る。

松谷秀幸
松谷秀幸選手(S1・神奈川96期)

Jリーグ出身の選手について触れてきたが、それ以上に多いのが、元プロ野球選手だ。出世頭は元ヤクルト・スワローズの松谷秀幸だろう。2000年のドラフト3位で入団も、3度に渡る右肘の手術で1軍登板はない。そこから、この世界に飛び込んできた。G1でも見せ場を作るなど、ファンからの支持も厚い。他にも、元プロ野球選手は多々いるが、松谷が群を抜いてる。他の競技から競輪に転向した中には、陸上の400mハードルでアテネ五輪に出場した吉澤賢もいる。よく、他の競技からの転向組のことが記事になるが、全日本クラスではなく世界選手権、五輪に出場した選手は別格だろう。メディアもそれこそ持ち上げるが、せめて世界レベルの選手だけにしてもらいたいものだ。全日本クラスの人間と、世界クラスの人間を、同等に扱うのは違和感を覚える。

北井は15日に開幕するG2共同通信社杯(青森競輪場)に出場する。向日町が終わり、すぐ立川記念にも参加しており、疲労が気になるところだが、その走りには期待したい。

Text/Norikazu Iwai

Photo/Perfecta navi編集部

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