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2023/11/28

岩井範一

競輪祭の激闘

競輪祭の激闘

KEIRINグランプリ2023の最後の椅子をかけた戦い、朝日新聞社杯競輪祭(G1)は、眞杉匠の優勝で幕を閉じた。眞杉は8月のオールスター競輪に続き、2個目のタイトルを獲得した。

今回は、久々に現地でレースを観ることができた。勝ち上がりの段階で、優勝するしかグランプリに出られない平原康多らが脱落。準決勝でも新田祐大、古性優作、新山響平が涙をのんだ。一番、残念だったのが今回、優勝候補のひとりに挙げていた犬伏湧也だ。一次予選の1走目からスピード乗りは悪いし、末の粘りを欠いていた。しかしながら、まさか二次予選にも進むことができないとは夢にも思っていなかった。どこか調子を崩していたとしか考えられない。

話しを決勝に戻す。南関勢3人は、深谷知広を先頭に松井宏佑、3番手に深谷と同じく静岡の簗田一輝。南関はひとつといったところだろう。ただ、筆者は松井が前だと思っていた。準決勝が終わり、ほぼグランプリ出場者が決まったこともあり、深谷が前になったのだろうか。脇本雄太には南修二。太田海也に松浦悠士で、眞杉と北津留翼が、単騎の構図であった。
ポイントは南関勢の二段駆けに対して、近畿勢、中国勢がどう対処するか。予想通り、南関勢が打鐘からレースを引っ張り、眞杉はこの4番手を確保した。脇本はというと、後方からの捲りだったが、中国勢に合わされて万事休す。

小倉競輪第65回朝日新聞社杯競輪祭G1決勝レース・最終HS

松井が番手まくりを放つと、その後ろは簗田ではなく眞杉。ここが勝負の分かれ目だった。仮に、簗田が松井の後ろを維持できていれば、松井の優勝だったかもしれない。このあたりが経験なのだろう。松井も最高の展開だったが、勝てなかった。これほどのチャンスは多くはない。優勝した眞杉だが、オールスターの時は吉田拓矢の頑張りで勝ち取ったタイトルだったが、今回は自分の手で獲っただけに重みが違う。「タイトルは2個獲って本物」と言われているが、わずか3カ月でそれを成しえた眞杉は、間違いなく今後もタイトルを増やしていくだろう。

眞杉の優勝を受けて、グランプリ最後の椅子には、賞金ランク9位の新山響平が滑り込んだ。ゴール前の接戦を、どう観ていたのだろうか? 筆者は実は、太田から車券は買っていた。南関勢に対し、脇本が無理をしてでも、つぶしにいくと読んでいたからだ。深谷と脇本の先行争いなど、記憶にないくらい見ていない。意地と意地がぶつかりあう業界屈指の機動型の対戦は、勝負を度外視しても価値があると思っていた。そうなれば、好調な太田も捲りが決まる。結局、筆者の予想とはまるで違う結果に終わってしまったが、太田はもっと強くなるとも予感させた。

競輪祭のナイター6日制の売り上げは、目標の125億を上回る130億8363万1900円。さすが、小倉競輪場だ。イベントも、オートレーサーの森且行や、今シーズン限りで現役を退いた元巨人の松田宣浩など、競輪に興味がない層が入りやすい人選だった。以前は、自己満足とも思えるイベントも多かったが、最近はこういった人選が増えていると感じ、なぜもっと早くそうしなかったのかとは思う。これに気付いたことも、進歩だろう。

Text/Norikazu Iwai

Photo/Perfecta navi編集部

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