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2024/05/27

岩井範一

全プロ記念に思うこと

全プロ記念に思うこと

5月25日、26日の2日間、高知競輪場で開催された「全プロ記念競輪」。一線級が出場する大会ながら、優勝者がいない大会だと筆者は思っている。S級S班は競走得点上位者と初日は「優秀」なるものに出走し、勝ち上がると「スーパープロピストレーサー賞」に進出する。1着賞金は何と396万円(副賞込み)だという。2日間走って、この賞金は驚きでもある。初日優秀で4着以下の選手は、2日目に「ワンダーステージ」なるものに出走する。そもそもである、この全プロ記念という大会は「全日本プロ選手権自転車競技大会」に集まる選手が、ただそれだけではもったいないという理由で、せっかくだから車券も発売しましょうということで出来た大会だと聞いたことがある。

考えが短絡的過ぎるとは思うが、主催者の気持ちの分からないわけではない。だが、前述した通り、カテゴリーを分けるのは、上位選手優遇に他ならない。もちろん、上位選手はそれだけの活躍をしているのだから、当たり前だという意見もあろう。ただ1着賞金を考えると、いろいろな思惑も絡んでくるのではないかと勘ぐりたくなる。
それは、グランプリだ。
すでに、グランプリ出場権は、残すところG1が4大会(高松宮記念杯、オールスター、寛仁親王牌、競輪祭)。優勝すれば問題ないが、毎年、熾烈な賞金争いが繰り広げられている。ボーダー(少し早いが)の選手はこの396万円というビッグボーナスが欲しいであろうことは、分かりきっている。スーパープロピストレーサー賞を勝っても、出場権にはならない。G1やG2、G3を勝つのとは、話が違うのだ。筆者が思うに、9レース制にして1着権利の決勝を行った方が、真剣味も増すのではなかろうか。

全プロ競技練習

27日の競技大会は、個人的に面白いと思っている。今年は五輪イヤーでもある。ナショナルのメンバーは、今年この大会には参加しないが、五輪前に競技を勉強する意味でも、競輪場に足を運び、ライブ観戦をしてもらいたい。種目にもよるが、好成績を残した選手は10月の「寛仁親王牌G1」でのシード権が与えられる。普段の競輪とは違った自転車競技もまた、奥が深いものである。
難点を挙げるならば、競走得点が90点台の選手が、シード権を得ることもあることだ。昔の記憶をたどれば、スプリントが滅法得意な選手がいて、寛仁親王牌の「日本競輪選手会理事長杯」に出走したことがあった。だが、他の8人と比べ実力差がありすぎて、競走にならなかったような気がする。その選手を批判しているのではなく、制度自体に問題があるのだ。ファンも、なぜ〇〇選手がシードされているのか理解に苦しむこともあり、車券的な戦術も立てにくくなる。ケイリン種目の上位選手シードは理解できるが、その他の個人種目でのシード権は再考が必要ではないだろうか。

少し話が飛んでしまったが、競技大会自体は繰り返しになるが、面白い。だからこそ関係者はもっとPRすべきだと考える。「全プロ記念競輪」以上に、本来の競技大会のPRにも力を入れてもらいたい。

Text/Norikazu Iwai

Photo/Perfecta navi編集部

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