TOP > コラム > メダル候補に挙がってきた小林優香

コラム

一覧へ戻る

コラム

2021/07/06

Norikazu Iwai

メダル候補に挙がってきた小林優香

メダル候補に挙がってきた小林優香

7月3日の午前、知人からのLINEを見て驚愕した。送られてきた映像は、静岡県熱海市で起きた土石流。2011年の東日本大震災の映像とかぶるほどの衝撃であった。この原稿を書いている時点で、まだ安否が確認できていない人たちがいる。何とか無事でいてほしいと祈るだけだ。

土石流が起こった現場だが、筆者はその昔、日本競輪学校(現在は日本競輪選手養成所)の卒業記念レースを観戦するのに、あの海外線を通っていた。箱根の山を越えるルートもあるのだが、海を見たいからとの思いであった。テレビに映し出される朱色の橋。あそこは鮮明に覚えている。

前書きが長くなってしまったが、本題に入ろう。つい1カ月前までは東京五輪を開催するのか、中止するのかと、連日テレビで流れていたが、現在は「開催」で、有観客にするか、無観客にするかが注目されている。アスリートの気持ちとしては観客がいた方が、気持ちは当然盛り上がる。応援を力に代えれば、想像以上の力が出るとも言われている。しかし、そうは言っても、現在の新型コロナウイルスの感染状況を考えれば、果たしてどうなるか。こればかりは、私たちが決めることではない。
その五輪だが、脇本雄太と新田祐大にメダルの期待がかかる。これまでの五輪でもメディアは持ち上げてメダル候補という言葉を使ってきたが、今回ばかりは現実味を帯びている。ホームアドバンテージもあるし、メダル候補どころか金メダル候補と言っても過言ではないだろう。安定感なら脇本、一発の魅力なら新田だろうと筆者は勝手に思っている。競輪もそうそうだが、優勝するためには、「優勝したい気持ち」が誰よりも強いことが挙げられる。五輪も同じで、金メダルを獲りたい気持ちが誰よりもあるかどうかだと思っている。精神論と言われればそうなのだが、やはり勝負に気持ちは大切だろう。

忘れてならないのが、女子の小林優香だ。女子はマディソンなどの梶原悠未がどうしても取り上げられるが、小林がここにきてメダル候補だという話しが湧いてきている。5月に香港で行われたネイションズカップ。以前、ここでも書いたが世界のトップレーサーは参加していない。では、なぜ小林なのか? 小林は女子ケイリンで優勝を果たした。トップレーサー不在なのだから、と言われてしまえばそれまでだが、実は2位のリー・ワイジーの存在が大きい。
競輪好きのファンなら覚えているだろうが、彼女は以前、短期登録選手として来日し、ガールズケイリンで走っている。漢字で書けば李彗詩(リケイシ)。これなら、分かるファンもいるだろう。この李は五輪の有力メダル候補なのだ。香港が地元ということで参加したのだが、その李を小林が破ったのだから、小林の評価が上がるのも当然だ。上位不在でレベルの低い大会であっても、李に勝ったのだから、小林は自信にもなったはず。香港がピークでないことを祈るばかりだ。個人的な意見だが、どうも日本人アスリートはピークの持って行き方が上手でないように思えてしまう……。
メダル候補は脇本、新田だけではない。小林からも目が離せないということを知ってもらいたい。

ページの先頭へ

メニューを開く