TOP > コラム > 新鮮味とは

コラム

一覧へ戻る

コラム

2024/04/20

岩井範一

新鮮味とは

新鮮味とは

高知競輪場で開催されたデビュー2年未満のガールズケイリン選手による「ガールズフレッシュクイーン」。実際にレースをネットで見ていたが、残念ながらフレッシュなレース内容ではなかった。
逃げた竹野百香の後ろをインを突いて奪った畠山ひすいが、ゴール寸前で竹野をかわして1着。道中は3番手だった畠山に対し、河内桜雪が追い上げて3番手が並走になった。ガールズでの並走とは、どうしたものか。全体的に、イチかバチかの自力勝負を見せて欲しかった。結果、単純なレースになり、盛り上がりに欠けていたと感じた。

そもそもこのレースは、JKAのページを見ると「新鮮味豊かな競走をお客様に提供する」とあるが、今回は新鮮味に欠けた。そもそも出場する選手は、このレースをどう思っているのだろうか。ビッグレースでもなければ、1着賞金だって43万1000円だ。JKAのページにも、次代を担うスター選手の登竜門と書かれていたが、少し言い過ぎのような気がしてならない。選手もそこまでは理解していないのではないだろうか。勝った畠山は立派だが、個人的にはこれを勲章だとは思ってほしくない。

高知記念で、筆者は珍しく興奮したことがあった。小嶋敬二が準決勝に進出し、山口富生と連携しているではないか。遡れば、初日の予選は小嶋が1着、新田康仁が2着という、最近のG3クラスでは、なかなかお目にかかれない車券だった。結果的に小嶋は準決勝で敗退したのだが、小嶋と山口が並んで走っているところを見て、感慨深かった。あの時代の熱気が忘れられないのだろう。

高知競輪開設74周年記念よさこい賞争覇戦G3最終日7RS級特選74期小嶋敬二と新田康仁の同期連携
高知記念最終日に小嶋敬二と新田康仁が同期連携

驚きは最終日もあった。今度は新田康仁が小嶋の後ろを回り74期ラインを形成した。中部近畿ラインの石塚輪太郎がいるのにも関わらず、あえて別戦を選び、小嶋は自力に徹した。打鐘の4コーナーから一度は前に出るなど、意欲は伝わってきたものだ。筆者は小嶋と新田の表裏を応援車券として購入していたが、小嶋の頑張りを見れただけでも価値があった。小嶋には、もっともっと頑張ってもらいたいものだ。

最後に、心配なニュースが耳に入ってきた。栃木の渡辺藤男選手が、意識不明の重体に陥っていることだ。何でも低酸素室でのトーレーニング中の事故らしい。原因はまだ分かっていないが、無事を祈りたい。渡辺選手は決して目立つタイプではないが、車券戦術においては極めて重要な役割の選手だ。ラインをしっかり守り、自分の役目を分かっている選手だからこそ買えるのだ。この原稿を書いている最中もまだ重体とのことだが、回復を祈りたい。

Text/Norikazu Iwai

Photo/Perfecta navi編集部

***************
【岩井範一の過去コラムはこちら】
郡司浩平と北井佑季
競輪の醍醐味
候補生への期待
競輪を感じた奈良記念決勝
競輪界の違和感
明暗が分かれた昨年のS級S班
静岡記念の熱戦
選手表彰に思うこと
盛況だったグランプリシリーズ
グランプリ、開催目前!

ページの先頭へ

メニューを開く