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2023/04/19

岩井範一

地元開催

地元開催

郡司浩平が深谷知広の先行から番手捲りを放ち優勝した小田原記念。実は、この時期に小田原記念が開催されることを事前に知らず。知人からの連絡があって知った。そのため、車券を買い始めたのは3日目からというお粗末ぶり。小田原記念と言えば「お盆」のイメージが40年以上染みついていただけに、桜の季節はピンとこない。

小田原競輪開設74周年記念北条早雲杯争奪戦勝者郡司浩平イメージ

小田原だけでなく、平塚、川崎と、神奈川県には三つの競輪場があるわけだが、いつも違和感を覚えるのが記念開催である。筆者の気のせいかもしれないが、地元勢が多く出走する。今回の小田原記念でも主力級、準決級まで勝ち進むであろう選手が、地元から多く斡旋されていた。もちろん、他場でも地元選手は多いのだが……。初日特選は、深谷を含めて南関東勢が4人。先行は、深谷と松井宏佑、そして郡司。どこかのメディアが最初、深谷が4番手を回ることも考えていたと報じた。結局は、深谷が先頭で、松井が番手に落ち着いた。もし仮に、深谷が4番手を回っていたら、それはそれで大きな反響があったであろう。

今の時代、地元、地元という感覚はどうなのだろうか。もちろん、選手としては気合が入るし、地元戦は別格なものである。それでも、現在は全国で車券が買える時代でもある。そして、本場の入場者数が減っている今、購入者の多くは、ネット投票なのだろう。全国の大多数のファンにとって分かりやすく、車券を買いやすくすることを考えると、やはり地元第一に考えすぎるのは、今の時代において違和感を覚えてしまう。地元勢を勝ち上がらせたいのは重々承知だが、逆に興ざめしたファンはいなかったのだろうか。

今回の小田原記念の売り上げは、目標の60億円を大幅に下回る、52億9781万3600円。昨年の売り上げを、約7億円も下回った。毎回コラムで指摘していることだが、今年に入り、グレードレースでは目標額を下回ることが顕著になってきている。小田原は一時期、廃止の方向だったという報道があったと記憶しているが、コロナ禍が逆に売り上げ増に繋がったことも大きく、存続が決定したという。
小田原は、JRの最寄り駅から徒歩で10分程度の立地。交通のアクセスもいい競輪場で、この結果をどう受け止めているかだ。施設の老朽化に対し、どんな手を打っているのかも知りたいところだ。
どの場にも言えるが、もし、マイナス分は、ミッドナイトでカバーすればいいと考えている関係者がいれば、それこそ本末転倒だろう。

5月には小田原競輪の隣り、平塚競輪場で日本選手権競輪(G1)が開催される。全国でも有数の売り上げを誇る平塚で、目標額を下回ることはないだろうが、今年、来年以降の業界を占う意味でも、昨年以上に重要な大会になってくるだろう。

Text/Norikazu Iwai

Photo/Perfecta navi編集部

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