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2024/03/11

岩井範一

競輪を感じた奈良記念決勝

競輪を感じた奈良記念決勝

2月の奈良記念を観て、久しぶりに競輪を感じ、興奮を覚えた。
決勝は近畿が7人も進出。どう並ぶのかが焦点だった。筆者の予測は、脇本雄太に三谷弟(竜生)、兄(将太)。古性優作に南修二、東口善朋、松岡健介。松岡は、脇本ラインの可能性も十分にありえるとふんでいた。果たして、結果はいかに、だ。
その予測は、全く外れてしまった。古性、南の大阪勢に松岡。脇本には東口。三谷兄弟と3分戦になったのだ。初日特選は脇本に三谷弟。古性、南に東口と別線。決勝も2つに分かれると、たかをくくっていたが、まさか3つだとは、正直、頭の中にはなかった。

奈良競輪第73周年記念春日賞争覇戦G3決勝ゴール

レースは、古性と脇本が打鐘から真っ向勝負の先行争い。これも、予測不能だった。菅田壱道が捲り、その上を三谷兄弟が捲り、ワンツー決着となった。
いつもは仲間であるが、7人もいれば連携はできない。その中で、今回、近畿7人の戦いは、古き良き時代の競輪を思い出させてくれた。G1の決勝でもそうそうお目にかかれない一戦だろう。それぞれがプライドを持って戦った結果に、車券は外れはしたが、妙に納得して満足を得られたのだ。
もし仮に、今回の決勝に近畿が5人勝ち上がった場合は、どうなっていただろうか? 5人だと微妙な人数ではあるが、連携していた可能性は否定できない。そうなると4、5番手を回る選手には、ほぼ勝ち目がない。そういったことを踏まえ、奈良記念の決勝は、近畿7人、誰にでも優勝の可能性があったライン構成だったと言える。

個人的な意見だが、今開催のようなメンバー構成だと車券は買いにくかった。地元地区の選手が多く参加しており、さらに番組も多くの地元地区を勝ち上がらせようとしていたように感じた。これは、今回だけではなく、他の競輪場でも見られることではあるのだが……。
提言と言えば大袈裟だが、今後は参加選手の割合を、もう少し考えるべきだろう。記念は全国発売である以上、地元地区に固執しなくてもいいはずだ。選手に良くするのか、それとも、売り上げを第一に考えるのか、だ。筆者は、選手の気持ちも分かるが、売り上げを第一に考えた斡旋をJKAには望みたい。

平原康多

また、玉野記念では、平原康多の動きが、だいぶ良くなってきた。ここ数年は、度重なる落車や腰痛で満身創痍、本来のパフォーマンスができていなかった。結果的に、玉野記念は決勝5着に終わるのだが、初日特選、二次予選の1着は、たくましさを感じさせる走りだった。まだまだではあるだろうが、日本選手権競輪に向けて、明るい兆しが見えてきたのではないだろうか。やはり、平原は絵になる。1年でS級S班に復帰してもらい、この業界を盛り上げてもらいたい。

Text/Norikazu Iwai

Photo/Perfecta navi編集部

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