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2024/06/20

木三原さくら

恋して競輪ハンター

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木三原さくら「恋して競輪ハンター」159 Hunting

平塚競輪を愛する皆様、ついに、この日がやってきましたね。
第75回高松宮記念杯競輪で、神奈川の北井佑季選手がG1初優勝を決めました。準決勝は松井宏佑選手の番手から捲って勝ち上がり、そして決勝ではタイトルホルダー郡司浩平選手の番手、3番手を和田真久留選手が回っての布陣でした。残り2周から突っ張った郡司選手の素晴らしい先行から北井選手の番手捲り。しっかりその後ろをかため、内をしめ走った和田選手の仕事もあり、見事に優勝を勝ち取りました。

玉野競輪のCS司会を終えた帰りのタクシーの中、しみじみと感動を味わいました。
『努力は報われる』、『夢は叶う』。
誰もが聞いたことのあるフレーズ。でも正直、世の中は報われないことの方が多いし、夢だって大人になって持っていることすら難しくなる。そんな中で、北井選手はまさにこの言葉を体現してくれました。サッカー選手から転向し、デビューして3年。映画のようなサクセスストーリーには北井選手の人並外れた練習量と惜しまぬ努力があり、それに基づく日々の走りが決勝の神奈川ラインのレースを作り、夢を叶えたのだと思いました。

岸和田競輪第75回高松宮記念杯競輪G1決勝

振り返ると、あの子が北井選手だったんだなと、今になって気づいた記憶があります。平塚競輪の練習取材に行くようになった頃、現役選手に取材しているそばでワットバイクに乗って、モガいているアマチュアの子がいました。(あえて「子」と表記しますが、選手になるまで取材することは基本ないので、年齢も経歴も知らず、漠然とアマチュアだから若いだろうと勝手に思い込んでいました)。
全員が競輪選手になれるわけではない厳しい世界で、彼は選手になれるのだろうか。養成所に受かるのだろうか。そんなことをぼんやり考えながらも、滝のような汗を流し、身体とワットバイクのどちらが先に壊れちゃうんだろう、と思うくらいにガムシャラにモガいていた姿。あまりの気迫に、思わず目を奪われたのを覚えています。

そんな「あの子」が競輪選手北井佑季としてデビューし、当時からトップ選手だった郡司選手の番手からG1を獲る日がやってきました。当時の「あの子」に『その努力、報われるからね』と伝えたい気持ちに一瞬なりましたが、きっと彼にはそんな言葉は必要ないのでしょう。

北井佑季

さて、かつては決勝で長いラインを作っては失敗し、「南関だもの」と言われてきた南関東地区ですが、今年G1覇者がこれで2名。静岡競輪でのグランプリに向けて好調な2024年の前半戦と言えるのではないでしょうか。
今のところ、今年のG1覇者は3選手全員が現S班選手ではありません。今年はパリ五輪もありますし、より一層、激戦の1年になりそうですね。
夏には平塚競輪でのG1「第67回オールスター競輪」が開催されます。地の利を活かした神奈川、南関東のさらなる躍進に期待したいです!
最後になによりも、北井選手、G1初優勝おめでとうございます!

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【恋して競輪ハンター・過去コラム】
158Hunting「邊見祐太選手に想いを乗せて」
157Hunting「生で見たダービーの景色」
156Hunting「オールガールズクラシックで旅打ち」
155Hunting「締切1分ダッシュ買い」
154Hunting「開花目前!橋本宇宙選手」
153Hunting「車券下手の罪悪感」
152Hunting「三谷竜生の地元記念連覇」
151Hunting「大我くんから田中大我選手へ」
150Hunting「北井選手の異次元の強さ」
149Hunting「2024年万車券初め」

【略歴】

木三原さくら(きみはら・さくら)

1989年3月28日生 岐阜県出身

2013年夏に松戸競輪場で
ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー。
以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に競輪を自腹購入しながら学んでいく。
番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり。
好きな選手のタイプは徹底先行!
好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション。
“おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている。

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