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2019/01/24

Natsu Sakurai

競輪に夢CHU Vol.11

競輪に夢CHU Vol.11

みなさん、こんにちは!グラビア車券師・桜井奈津です。
新年の挨拶としては遅くなってしまいましたが、本年もどうか宜しくお願い致します。
これからも私なりの好きを発信し続けていけたらと、思っております。

私の瞳には今日もバンクがキラキラして映ります。100円から買える夢、伝わってくる選手のみなさんの緊張感が大好きなのです。
運動がからっきしダメ、不得手な私からすると……ブレーキもなく、クリップバンドでペダルに足が固定されている自転車に乗って、トップスピード70㎞/hだとかで走るなんて想像するだけで怖くてできません。シーズンオフがなく、落車などアクシデントでのケガも多い中、命を懸けて走り続けているその姿を観ていると、とても胸が熱くなるのです。

たくさんの魅力がある中で、選手のみなさんは本当に凄い、尊敬の念を抱いています。実は私が最も彼ら、彼女らに惹かれているのはメンタルの部分です。
競輪は他の公営競技と比較してもファンとの距離が近いですから、ファンの声は確実に選手の耳に届いているはず。しかも……それは応援の声、励ましの声ばかりではないのです。
元選手であり、現在は静岡で解説をしている伊藤勝也さん(静岡54期・引退)にその“野次”について尋ねてみたことがあります。その時、伊藤さんは以下のように話して下さったのです。

「期待して車券を買ってくれていたんだから、走ってダメだった時にファンが怒るのは当然。その時は申し訳ありませんでしたという気持ちでいた。また、“野次”を言われなくなったら、おしまいだとも思う。注目されていないってことだから」

この伊藤さんの回答に私は「なるほど!」と、納得させられました。長きに渡って、レースとファンと真摯(しんし)に向き合ってきた伊藤さんの言葉はとても重みがあって、ダイレクトに心に響きました。

発走前、レース中、走り終わった後に敢闘門へ戻っていく際、時にはひどく口汚い言葉も聴こえてくることがあります。現地で聞いていると、怖い……正直、何度もそう思うってしまうものです。
人間って、イライラしていると誰かに当たりたくなってしまうものなのでしょう。発して良い言葉と悪い言葉の分別もつかないものも多いです。だけど、そういうのもサラッと、受け流すこともできる選手のみなさんのメンタルにはただただ頭が下がります。

私は競輪選手のみなさんとは違いますけれども、やはり、人前に出るといったお仕事です。それゆえに知っている人にも、知らない人にもあれこれ“野次”を飛ばされた経験があります。私の場合は金網越しではなく、画面越しだったのですが。
でも、言われなくなったら終わり、注目されている時点でこっちのもの、そう考えるようにしてからは凄く気持ちが楽になりました。

このように競輪を観ていることで、自分自身の人生やお仕事に通ずるものを見つけられるうえに刺激を受ける場面が多々あります。私は競輪から頂戴され続けているので、いつか恩返しをしないと!そんなことを考える毎日です。

競輪場の“野次”というもの、それもまた、競輪場のリアル。昭和の味もあって、悪くないというご意見もあるかも知れませんが、人間性を疑ってしまうものもあるのが現実。であるにも関わらず、再三、書いているように、私はそれを受け流す選手のメンタルの強さという部分を凄く尊敬できる。人間ですから、見知らぬ人の心ない言葉に傷付ついたり、辛い想いをしていたり、ということはたくさんあるはずです。それでも、バンクという舞台に立ち続けてくれていることに心の底から感謝です。頑張っているのはレースで走っている3分間だけじゃない。そして、にじみ出るその強さがより一層、彼ら、彼女らを輝かせているのだと、改めて思いながら私はこれからも競輪場へ足を運びます。

【略歴】

桜井奈津(さくらい・なつ)

1988年9月5日生

愛知県出身

青山学院大学経済学部中退

ミス東スポ2016グランプリ

KEIRINグランプリ2018 静岡アンバサダー

旅打ちが好き

全場制覇の旅は現在43場のうち31場制覇(2018年9月20日現在)

帰りの交通費がなくなるとsuicaをみどりの窓口で返却

デポジット500円を手に入れるという特技をよく使っている

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