恋して競輪ハンター
恋して競輪ハンター 64 Hunting
7月、平塚競輪場が再び動き出しました。G2サマーナイトフェスティバルの場外発売から入場が可能になり、その翌週の『F2湘南クリーンサイクル杯』で、約5ヶ月ぶりに有観客開催。まだ元通りとは言えませんけれども、本場にお客さんがいる雰囲気に「やっぱ、こうじゃなくっちゃ!」と、実感したものです。
また、顔見知りのお客さんに会えるのも久しぶり。「まだやっているかな?」と、チャリチャンの放送ブースを覗いて下さったり。ソーシャルディスタンスを保つために、距離がある中でも手を振ってくれたりする姿を見ると、本当に涙が出てきました。コロナ禍の中でも競輪を、平塚競輪を忘れずにいてくれたこと。そして、平塚競輪に私たちがいることを覚えていてくれたこと。本当に嬉しかったですし、続けてきて良かったなぁと、思う瞬間でありました。
さて、そんな平塚の本場開催。ガールズケイリンとA級1・2班戦の7車立て全9R制。7車立てについては__ファンからも選手や関係者からも賛否の声が挙がっていますよね。単調、面白味がない、こんなの競輪ではない……。そんなネガティブな声を耳にしたくなくても耳にすることが多々ありました。
けれども、7車だって面白いレースは当然ありますよね!それを感じたのが初日の9R・A級初日特選のレースでした。
このレースは渡邉直弥(静岡113期)選手のみが自力選手で、あとの6人全員が南関東地区の追い込み選手。神奈川4人、千葉2人、そして静岡。前検日では7人全員が困っていました。もっと言うならば番組屋さんも(笑)。初日特選は1班の点数上位から選ばれることが多く、斡旋が決まった時点で、ある程度メンバーが決まってしまうもの。渡邉選手も平塚入りする前から自分自身が先行1車の番組になることを予感し、どうしたら良いかと、かなり考えていたそうです。致し方ない番組ではありますが、上位の選手で行われる初日のメインレース。なおさらワクワクするレースを期待してしまうところです。
渡邉選手は早々に自力宣言をして、あとは6人の立ち回り。結果的には神奈川は4車で並び、千葉は2車、その2つのラインが渡邉選手の後位をめぐっての“競り”。並びが決まった時点で、私は淡泊なレースを想像しました。同地区の競りだし、初日特選だし、先行1車だし……と。しかし、実際のレースはその想像をガッツリ引っ繰り返しました。
雨の中、渡邉選手が誘導員の後ろに位置し、渡邉選手の後ろは内に神奈川、外に千葉で並走が続きます。残り1周のホームで、内の高木隆弘(神奈川64期)選手が須藤誠(千葉92期)選手を外に張ると、そのタイミングで渡邉選手が加速を開始。高木選手は踏み遅れてしまい、須藤選手が渡邉選手を追います。「決着ついたのかな?」と、思いきや、高木選手はもう1度、内から追い上げ、バックで須藤選手に競り勝ったのです。番手の勝敗がついた後は3番手の戦いの鐘が鳴ります。小島歩(神奈川97期)選手と春日勇人(千葉82期)選手の激しい競り合いは内の小島選手が勝ち、そのままタテに踏んで2着まで伸びました。
想像をはるかに超えた激しいレースに、車券の結果はどうあれ、レース後の気分はとても良いものでした。これは紛れもなく“競輪”。9車だから見られる駆け引きやレース展開がなくても、熱い競輪を見させて貰ったと、感じました。
何人で走ろうとも「このレースが見られたならばいくら負けても良い」と、胸の高鳴る素敵なレースもあれば「もう2度と競輪なんて買うかアホー!」と、しょっぱい気持ちになるレースもあるのが正直なところ。それでも、やっぱり、買っちゃうのだから酸いも甘いも引っくるめて、競輪の魅力なのでしょうね。
しばらく7車の競輪が続きますが__“おいしいレース”も“しょっぱいレース”もどうせ車券を買うのだったら、その全部を楽しみたいところです!
【略歴】
木三原さくら(きみはら・さくら)
1989年3月28日生 岐阜県出身
2013年夏に松戸競輪場で
ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー
以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に
競輪を自腹購入しながら学んでいく
番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり
好きな選手のタイプは徹底先行
好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション
“おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている
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