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2017/12/26

Yuji Yamada

“帝王”山田裕仁の競輪哲学 Vol.14

“帝王”山田裕仁の競輪哲学 Vol.14

さぁ!いよいよ競輪界も年末の大一番を迎えます。
競輪選手の誰もがこの年末のグランプリという舞台に立ちたいと、日々の練習やレースで奮闘。そう、グランプリは憧れであり、最高峰のステージなのです。
今年は記録的とか歴史に残るといった言葉が使われるような、色々と節目となる一年になりました。この競輪界でも歴史に名を刻むような結果を望みたいと思います。

それでは、グランプリシリーズに軽く触れていきます。
まず初日にはガールズグランプリが開催。展開一つで誰が勝ってもおかしくない結果になると思いますが、私は児玉碧衣(福岡108期)選手に注目したいです。
児玉選手は普段の開催ではスピードの違いを見せつけ、圧倒的な強さでの勝利、優勝回数も多数であります。ところが、ビッグレースになるとなぜだか勝てません。昔、私は“無冠の帝王”と、呼ばれていましたが、そんな不名誉な異名を返上すべく頑張って欲しいですね。
今開催は平塚バンクということもあり、直線の長さなどを考慮すると児玉選手にとっては立川や京王閣よりもプラスに働くのではないでしょうか。高木真備(東京106期)選手や石井寛子(東京104期)選手のようなレース巧者もいますけれども、その選手たちの位置取りを確認しての仕掛けができれば、チャンスは充分にあるはずです。同型の奥井迪(東京106期)選手、地元で燃えている尾崎睦(神奈川108期)選手も気になりますが、児玉選手の得意なダッシュをどのタイミングで使うかを考えて走ることが出来れば優勝の可能性が高くなるのではないでしょうか。

2日目にはヤンググランプリが開催されます。
この参加メンバーはこれからの競輪界を引っ張っていく期待の若手レースです。
格的には新山響平(青森107期)、吉田拓矢(茨城107期)が抜けているイメージですが、最近、メキメキと調子を上げてきている太田竜馬(徳島109期)選手の走りから目が離せません。優勝予想はと言いますと、太田選手の番手を回ることになる小川真太郎(徳島107期)選手が有力か?茨城トリオがシッカリ連携すれば、茨城の中から優勝者を出してくる展開も作れるようにも思えます。
ヤンググランプリにおいては、私がこの原稿を書いている段階ではコメントが出ていないために並びの想定が出ていません。はい、あくまでも現時点での個人的予想ということでご勘弁下さい。

そして、最終日はいよいよKEIRINグランプリとなります。
競艇の賞金王決定戦ではキッチリ1番枠(競艇は内枠有利と言われています)の桐生順平選手が初優勝。競馬の有馬記念ではキタサンブラックが1枠から見事に逃げ切って、引退レースを有終の美で飾りました。キタサンブラックはこの優勝で生涯獲得賞金は歴代1位となり、記録にも記憶にも残る名馬、後世に語り継がれる名馬となるのは間違いないでしょう。
それでは、競輪はどうなるのか?競輪の1番枠は新田祐大(福島90期)選手。はい、新田選手が優勝の大本命であることは揺るぎません。
尚、新田選手がグランプリで優勝すると、年間獲得賞金額は私の記録(2億4,434万8,500円)を抜いてトップになるそうです。抜かれる私にすれば寂しさもありますが、負けず嫌いなところで「当時のグランプリ優勝賞金は7,000万円だったから、今の1億円だったら2億7,000万円を稼げたな」と、それだけは主張しておきます(笑)。
しかし、今年は世界のあらゆる分野で、記録更新という明るい話題が多かったのは事実です。競輪界もこの波に乗って、年末に明るい話題をドカン!と、提供してもらいましょう。

文末になりましたが、みなさんが良き年末年始を迎えられることを願っております。
また、新たな2018年になりましても、どうか宜しくお願いします。

【略歴】

山田 裕仁

山田 裕仁(やまだ・ゆうじ)

1968年6月18日生 岐阜県大垣市出身
1988年5月に向日町競輪場でプロデビュー
競輪学校の同期で東の横綱・神山雄一郎(栃木61期)、西の横綱・吉岡稔真(福岡65期・引退)らと輪界をリード
“帝王”のニックネームで一時代を築いた
2002、2003年の日本選手権競輪(ダービー)連覇などG1タイトルは6つ
KEIRINグランプリ連覇を含む史上最多タイ3度の優勝など通算優勝110回
通算獲得賞金は19億1,782万5,099円。
2002年に記録した年間最高賞金2億4,434万8,500円はいまだに破られていない
自転車競技でも2001年のワールドカップ第3戦(イタリア)で銀メダルを獲得するなどの実績を残した
2014年5月に引退して、現在は競輪評論家として活躍中
また、競走馬のオーナーとしても知られる

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