全日本選手権ロードレース2023(男子エリート)

ラスト2周。先頭吸収の見通しはほぼ立たなくなり、先頭4名の間の優勝争いが始まった。まず、動いたのは石上。ここに山本大喜が反応し、仕掛ける。この山本大喜の動きに付いていかれたのは、兄、山本元喜のみだった。全日本選手権という最高峰のレースの最終章は、なんと、山本兄弟の一騎打ちに。会場は大いに沸いた。
ここまで先頭に2名を残し、余裕のあった山本大喜が兄を引き離す。元喜は反応できず、大喜は独走態勢に入った。
大喜は、最終周回に入る。このサバイバルレースの終盤に、大喜は19周回目を独走で13分18秒という大会最速のラップタイムで走り抜けている。
独走で最終周回に入る山本大喜(JCLチーム右京)
弟を追う山本元喜(キナンレーシングチーム)の後ろには岡篤志(JCLチーム右京)がピタリと付いている
新城は金子が引く集団の中で最終周回へ入った
石上は遅れ、岡が元喜に追いつき、大喜を追いたい元喜にとっては不利な体制に。大喜はサーキットを単独で走り抜け、感情が爆発するような力強いガッツポーズでフィニッシュ。全日本選手権初優勝を決めたのだった。
感極まったガッツポーズでフィニッシュした山本大喜。誰もが認める王者の走りだった
岡は元喜を振り切って、2位でフィニッシュ。JCLチーム右京のワンツーフィニッシュとなった。
3位に終わった兄、山本元喜
集団を強烈に引いた金子は6位、新城は8位でレースを終えている。完走したのはたった21名のみだった。
山本大喜は表彰台に立ち、昨年は辛くも3位に終わり、悲願だった優勝を叶えた喜びと、自転車競技をやるきっかけになり、いつも複雑な思いで背中を追い続けた兄への思いと、ここで兄に勝つことができた喜びを語った。声援を送った観客への感謝を語り、インタビューを締めくくった。
最後まで逃げ切った3名には大きな拍手と声援が贈られていた
コースも、暑さも厳しく、最後は兄弟の戦いが展開され、壮大なドラマのようだった今年の全日本選手権。コロナ禍を抜け、初めての選手権であったこともあり、多くの観戦者が来場し、日本CSCの駐車場は早々に満車となったという。観客たちは大いに観戦を楽しんだようだ。
ここから今年のシーズンは後半戦に入り、今年新しく立ち上がったUCIレースも複数控えている。このレースが刺激となり、これからのロードレースシーンが大いに盛り上がることを期待したい。
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【結果】
全日本選手権ロードレース2023(男子エリート)
1位/山本大喜(JCL チーム右京)4:42:14
2位/岡篤志(JCL チーム右京)+1:32
3位/山本元喜(キナンレーシングチーム)+1:37
4位/石上優大(愛三工業レーシングチーム)+2:52
5位/門田祐輔(EFエデュケーション・NIPPOディベロップメントチーム)+3:02
画像:Satoshi ODA
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