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2021/02/19

Sakura Kimihara

恋して競輪ハンター

恋して競輪ハンター

恋して競輪ハンター 78 Hunting

2月10日から14日に行われた奈良競輪開設70周年記念春日賞争覇戦。昨年は急遽、無観客開催となった奈良記念。今年の奈良競輪場は滞留人数の上限設定はありましたが、お客さんをお迎えしての開催となりました。私も久し振りに有観客の本場を体感しましたが、やっぱり、楽しいし、生でなくては味わえないものがありますね。生のレース、その空気感、場内のにぎやかさやファン同士の交流。コロナ禍になって1年……ネット放送でたくさんの方々と日々、一緒に楽しんでいるのは間違いありませんが、本場での『ライブ感』を共有することはかけがえのないものだと、強く感じたものです。

レースは波乱の連続。33バンクの激しく、目まぐるしいレース展開の中で落車や失格があるレースも__。しかし、地元の中井太祐(奈良97期)選手と中井俊亮(奈良103期)選手が決勝に勝ち進み、初めての兄弟連携を実現させるなど、感動もたくさんありましたね。中井兄弟の準決勝は本当に気持ち!意地!『競輪は気持ち』という名言は競輪ファンにはお馴染みですが、脚力だけに留まらない「絶対に決勝に勝ち上がるんだ」という気持ちと意地が好結果を引き寄せていたようにも感じました。
そのような白熱の奈良記念、私の心に残った選手は他にもいます。それは笠松信幸(愛知84期)選手です。

笠松選手は2日目の二次予選で、同県の吉田敏洋(愛知85期)選手と連携。そのレースで吉田選手は残り2周半から突っ張り先行!まるで若手の先行選手かと思うくらい積極的な競走でした。
私は吉田選手の先行だと読んで、笠松選手の1着から狙いました。
5→129→1269の3連単9点勝負。
2周半という長い距離の先行でレースが動いていたので、一抹の不安はありましたが、それでも別ラインも脚を使っていたので、「できた!」と、思いました。
しかし、奈良の「5cmしかない」という冗談を言われるくらいの短い直線で、最後に吉田選手を交わしにいった笠松選手の外から宿口陽一(埼玉91期)選手!!!!
結果は1→5→9__5→1→9ならば2万を超える配当だったのに……思わず近くの柱にしがみつく程、痛恨の裏目でした。
でも、改めてレースを見て、納得したのです。笠松選手もレース後に「敏洋(吉田)があれだけ頑張ってくれたので、何とか残したかった」と、コメントも出していますが、2周半を突っ張り先行した吉田選手、きっと最後はヘロヘロだったに違いません。それを勝ち上がりの最低条件である4着までに残そうと、かばいながらギリギリの追い込みだったのだと思います。
吉田選手は惜しくも5着で二次予選敗退という結果になってしまいましたが、ラインを大事に思う笠松選手の気持ちを想像すると、車券の外れた悔しさを超えるトキメキが!なんて頼りになる番手選手なのでしょう。ラインを組み、風を切った自力選手にとっては笠松選手のような番手選手は心強いだろうなと、改めて思いました。

笠松選手、最終日の特別優秀では別の一面も。
前の選手が包まれ、内に入ってしまった笠松選手は最終2コーナー、7番手から自ら捲りを打ったのです!その勢いは前の全員を飲み込めそうなくらい良いスピードに感じました。結果は捲って2着でしたが、実はそんな一撃を秘めているのだと知ったら、ますます応援せずにはいられなくなりそうです!

兄弟ライン、同県ラインの想い__。今回の奈良記念ではラインが織り成すドラマをたくさん見た気がしました。他の競技にない競輪の『ライン』にはいつだってドラマチックな想像を掻き立てられます!!

【略歴】

木三原さくら(きみはら・さくら)

1989年3月28日生 岐阜県出身

2013年夏に松戸競輪場で
ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー
以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に
競輪を自腹購入しながら学んでいく
番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり
好きな選手のタイプは徹底先行
好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション
“おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている

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